第3話
放課後、職員室にて。
孝太郎は担任の先生でもある真に呼び出された。
「部活!?」
「そう、孝太郎は何部がいい?」
「いやちょっと待てって。部活なんて俺にはとても...」
「だって、孝太郎結局誰とも喋ろうとしないじゃない。」
「それは...」
「私、一週間経っても海としか喋ってるところしか見てないんだけど。」
「...」
「一回行ってみなさい。そこまで無理はさせたくないけど孝太郎にはなるべく人と関わってもらわないと。」
「...わかった。」
「じゃあ今ここで適当に決めまーす。」
そう言うと真は学校の部活リストを手に持った。
「え?ちょっと待てよ!」
「どれにしようかな天の神様の...」
部活リストを真の指がトントン鳴らす。
「運動部だけはやめてくれ!頼む!」
「言う通り!」
真が最後に指を刺したのは文学部だった。
「じゃあ文学部決定ね〜。」
「はぁ、とりあえず運動部じゃなくて良かった...」
「今日入部手続き私がしておくから、とりあえず明日だけでも行ってみなさい!」
「わかったよ。」
翌日の放課後。
「今日文学部行くんでしょ?私も付いてくよ!」
海がニッと笑いながら孝太郎に言う。
「ああ、助かる。流石に一人で行くのはちょっとビビるし。」
「まぁ、でも文学部って幽霊部員多すぎてほぼ部員一人みたいになってるらしいよ?」
「なんだよ...」
「とにかく!早く行ってみよう!」
「お邪魔しまーす。ってあれ?誰もいないじゃん。お姉ちゃんから部長はいつもいるって聞いてたんだけどなぁ...」
「とりあえず入ってみよう。」
「そうだね。」
部室の中に入ると部屋の両脇には本棚がずらりと並んでいた。
「すごい、量の本だねこれ...」
海は驚いた様子で言った。
「本だけじゃない、漫画とか画集もある。」
「おおこのミステリー小説、孝太郎好きだったよね!?」
「...西野涙香?」
「忘れちゃったの?小学生の頃よく読んでたのに。」
「覚えてないな...」
孝太郎と海はこの日、文学部に置いてある本や漫画やらを読んだりして家に帰った。
「文学部、一応行ってくれたみたいね。」
「ああ。俺と海以外誰もいなかったけどな。」
「あれ?部長は?」
真が不思議そうに聞く。
「いや。見てないけど。」
「お姉ちゃん、あそこには私と孝太郎しかいなかったよ?」
「あれ?でも私、文学部の部長さんからあなた達が部活に顔を出してくれたって聞いたのだけど...」
「...?」
三人とも不思議そうな表情でいた。
「せっかく孝太郎に人とコミュニケーションする機会を作ろうと思ってたのに、部員がほぼ一人じゃほぼ意味ないわねぇ...」
「その一人もまだ見てないしな。」
「転部させようかしら。」
「ええ...教師だからって好き勝手に部活に入部させんなよ。」
「あなたの保護者でもあるからよ、これでも孝太郎の事、心配してるんだから。」
「...それはごめん。」
「まぁまぁだんだん慣れていけばいいのよ。ってことで、今週までに文学部の部員と友達にならなかったら転部させるから、わかった?」
「まじかよぉお!!」
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