第3話 最悪の最悪
魔王に投げ飛ばされた先はなんの変哲もない街だった。加藤慎太郎は、近くにあった看板を読んでみるとどうやら「マチ」と呼ばれる街であった。
「なんだ?そのまんまじゃねえか。」
慎太郎は、とりあえず街に入るとその光景に驚きを隠せなかった。
店が、、、あったのだが。店一つ一つの名前がそのまんまである。というと全く分からないので具体的に言うと、リンゴが売っている店はリンゴ。肉が売っている店は肉など、そのままの店名がそこにはあった。
「なんだ。この気持ち悪い店は、とりあえずギルド的な所がないか探してみるか、、。」
「ありますよ!ギルド!」
慎太郎の目の前に現れたその少女は、確かにそう言った。だが、慎太郎はそれを無視して歩を進めた。
「おーい!聞こえますか?ギ・ル・ドありますよーーー!」
聞こえていたが、面倒なので聞こえないふりをしたが、ここまで来ると無視をするのはさすがにきついかと思い、慎太郎は幼女に応じることにした。
「なんだ?」
ふぅと少し息を吐き、
「ギルドがありますから案内しますよ?」
「あー、、すまない。知ってるなら案内してくれ。」
と言ったあと、その幼女はついてきてくださいと言わんばかりに慎太郎を背にまえへ歩き出した。当然、ついていくには行くんだが、少し気掛かりなことが一つ。
「(なんで心の中でいったことが分かったんだ?)」
そんなことを考えている内に案内されたギルドに着いた。
もちろん、店名はそのままギルドである。
幼女は口を開き、
「では!私はここで、案内は終わりなのでさよなら。」
えらく、あっさりである。まあまあ案内してくれたのだからあっさり別れを告げられてもそんなに精神的には来ない。
「ああ。じゃあな。」
手を振ると、その少女は慎太郎の次の瞬きをした瞬間に消えた。
「なんだったんだ。」
そんな疑問はさておき、ギルドに入るなり慎太郎が思ったのは
「普通だ。ありえないすぎる程普通だ。」
そこにあった椅子に慎太郎は腰を掛けた。やっと座れたのだが、全然落ち着かない。なぜならば、目の前の席に腰を掛けていたのはゴツいおっさんだったからだ。ずっと慎太郎を凝視してくるそのおっさんは口を開いた。
「おい!にいちゃん。お前、、」
初対面にも関わらず、大声で言うのはなんだとは思ったがとりあえずおっさんの言葉を聞くことにした。
「にいちゃん。俺の事を知ってるか?」
「知りません」
「知ってるか?」
「知りません」
「知ってるだろおおおおおおお!」
「知らねえったらしらねええんだよおおお!」
俺は懐が広いものではないが、さすがにこの状況については怒っても仕方がない。初対面で本当に知らないんだから。
慎太郎は、怒りを抑えつつおっさんに本題を話すように促した。
「で、俺に何のようなんですか?用件ですよ用件」
フムと言ったあとにそのおっさんは俺の服の方を指差してこう言った。
「お前のそのTシャツ。クソダサTシャツよお、、」
いきなり人のTシャツを指差すなり暴言かよ。このおっさんはほんとに失礼なやつだなあ。
「お前、、日本人だろ」
「は?」
理解し難い目の前の情報を耳にした慎太郎はその場で唖然としたのである。
二度目の転生はもう少し良いものであってほしい @yukai123
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