第2話 二度目
加藤慎太郎は、二度目の転生を果たした。
さすがに二度目ともなると、これはもうすんなり受け入れた。
やはり、死ぬことで転生することは何回でもいけるのだと。
そんなこんなで、彼が今いるところはアヴァントヘイムと呼ばれる魔王が住む城である。
慎太郎の視界には、どこまでも広い部屋、ドクロで装飾されたシャンデリア、床は黒、、何かの鉱石を利用して作ったと思われる床があった。
「おいおいおいおい。」
加藤慎太郎の二度目の転生は最悪の形で迎えるのである。
男は頭を抱える。この状況の変わりようは類を見ない。
「スライムから魔王城ってなんだよ!ふざけてんのか?いきなり死ねって?やばいだろ」
もちろんソロなので、そのような独り言を叫んでいると、部屋の奥から声がした。野太い声だ。
「貴様。何者だ、、名を答えよ」
明らかに魔王である。暗闇すぎて全く分からないがこれは魔王で違いない。
慎太郎は、仕方なく名を告げることにした。
「お、、おれの名は加藤慎太郎という。見れば分かるただの普通の中年の非力なおっさんだ。」
自分でも嫌になる。自分で自分のことを中年の非力なおっさんだなんて、、少しだけあるプライドが傷つく。
この際、そんなこと言ってられないので恥を忍んで言ってやった。
「フフフ、、カトウシンタロウと言うのか。知らぬ名だな」
「まあ、、そりゃそうですよね、、。」
「いや、失敬。笑うつもりはなかったんだが、あまりに聞いた事がない名だからな。」
「アハハッ」
笑うしかない。この先どうこんなやつとコミニュケーションを取れって言うんだ。沈黙怖えよ。
暗闇にいるその主は、周りにある暗闇を掴みそしてそれを一つの剣にした。
「我は魔王 デルゾゲート!!我が根城イヴァンに忍び込むとは貴様ただでは済まさぬぞ」
「(ですよね〜)」
魔王はその漆黒の剣を掲げ、こう唱えた。
「リキッド・プリズン」
唱えたと同時に慎太郎の足元に針山が出現し、グサグサと慎太郎の体を突き刺していく。
「グハッ!」
「小手調のつもりだったのだがな。まさかこんなにも脆弱な者だったとはな。」
高笑いを見せたあと、マントを翻しその大きな玉座に腰をかけようとした魔王だったがその腰の動きは止まった。
なぜなら、針山で貫かれたはずの慎太郎の体にはなんの傷もなかったからである。
「え?どういうことだ?」
自分の体を叩き、傷がないか確認をするが本当に何もなかった。
慎太郎の脳内がいきなり導きだした答えがそこにはあったのである。そう、慎太郎は転生の恩寵を受けたのだとそう確信したのである。
「フフフ、、。てことで、魔王さんよおおお。これをくらいやがれ!」
下に落ちていた石ころを投げつけたのである。なぜか慎太郎は転生の恩寵を受けているからどんな敵でも倒せると言う考えらしいが、、その考えは当てにならなかった。
「くだらん。貴様がここにいては邪魔だ。消えろ」
見えなかった。一瞬で慎太郎の背後に接近し、服の襟元を掴みそのまま魔王城からぶん投げたのである。
「うあああああ!こんな終わり方ってありかよ!こんなこんな落下死で死ぬなんて最悪だあああ」
ベチッ!
地面に顔ごと落ちたが傷はなく、精神的なダメージもない。
どうやら死なない体質になったらしい。
が、、そんなことは彼はいず知らず、魔王に飛ばされた先は、、
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