第3話 牢屋 男のハートは胃袋から 2
詰所厨房
ハワードの背後には警備兵達とまかない婦
テーブルには、
ジャガイモ
パン
塩
後は油なのだが 植物油などは無く
動物の油 ラードだ。
あと男爵の計らいで卵が用意された。
卵は庶民の間では高級品らしい。
「さて、準備をするか、、」
カマドは3つありそれぞれ火力が違うらしい。
ハワードは強火の釜には水が入った鍋を用意する。
「それでは どりゃ!」
水の入った鍋の底に板をぶち込む。
そこにいた全員が「えっ!」と思わず声にする。
ハワードはまかない婦に水の入った鍋を弱火の釜へ運ぶように指示した。
「丁度良い湯加減じゃの ドボン!」
鍋の底に敷いた板がまるで五右衛門風呂のような機能を果たす。
「えええっー!」
全員が呆気にとられる。
クラウザーシュトロハイム は思わず声にする
「ハワードよ それは何の意味があるのだ?」
「出汁だ!」
ハワードは真面目な顔で言う。
ペンギンの真面目な顔がわからないが、、
「えっ?」
「だから出汁をとっておる」
クラウザーシュトロハイム に向き言い放つ
「出汁とはなんなのだハワード」
「ワシは鳥じゃからの煮立つと美味が出るやもしれん」
湯船に浸かりすっかりリラックスしたるんだ顔でハワードが返す
「いやいや我が国ではそのような技法を用いた調理は目にしたことがない。」
クラウザーシュトロハイム の表情は困惑に満ちている。
ハワードは湯船から上がり
湯船って言っちゃったよ。
その羽(手)で出汁の味を確かめる。
「、、、、、」
鍋から離れたハワードはペンギンの姿でエプロンをつける。
(よくこんなモノがあったなぁ、、
サイズがピッタリだ)
聞くところリーの妹が置いていったものらしい。
ハワードはまかない婦に湯を捨てるように指示する。
「悪い、なんか思ってたのと違った。」
その時、先行きが不安しかない一同の顔だった。
「少し失敗もあったがこれからが本番だ」
兵一同が残念そうな顔でハワードを見る。
「ラードは弱火で焦がさないよう液化するまで煮立つのだ」
「下ごしらえはワシがする」
器用に短刀を持ち ジャガイモを薄くスライス
パンは粉にすり潰していると、
兵士一同から残念な目でみられた。
卵をとき、
スライスしたものとは別にジャガイモを茹でマッシュした。
ラードが液化したようなのでスライスしたジャガイモをぶち込む。
ぶち込みは男らしさの現れだ。
油とジャガイモの香ばしい匂いが部屋に充満する。
ポテトチップスだ。
マッシュポテトを塩で味付け団子状に、、
溶き卵をくぐらせパン粉をつけて油で揚げる
コレはコロッケだ。
「出来たぞ食してみよ」
ハワードは一同に向かい声をかける。
先程の残念顔から一転、皆この料理に興味が湧いた。
なぜなら匂いがこの料理が不味いわけがないと語ってくるのだ。
今日この日、ハワードは料理無双した。
警備兵達は涙を流し 「ありがとう」とハワードに握手を求めてくる。
当主クラウザーシュトロハイム でさえ立場を忘れ今宵生まれた新しい食事に歓喜するのだった。
警備兵との宴も終わり、、
「お前たちの胃袋をあれだけ満たしてやったというのに、また鉄格子の中に連れてこられるとはな、、」
「旦那のおかげでアッシは一儲けできそうでさぁ」
満面の笑みで此方を見るリー
ビー・リー にはハワードの料理に関する実務販売の権利を売った。
実務前半は妹のビ・リリィが行うようだ。
(やはりいたか、、)
今回のレシピを含む [揚げ料理]に関して、
クラウザーシュトロハイム男爵の計らいで王都に特許出願する運びになった。
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