第18話 坂城健吾 90歳の質疑応答

注:W高校は、『交差点にいる天使(連載版) ~ 駅前の交差点での奇跡』にでてきた高校ですよ。


  誰も拍手をしなかった。みんな唖然としてしまった。


 90歳の彼は落ち着いている。

 髪は短めに整えられている。

 服装は、詰襟の学生服。久しぶりに見る服装。


 ぱっと見は、ただの高校生。


 20歳の私が聞いた。

「人間以外って・・?」

「言っていいのかな・・神とか悪魔とかだよ」

 10歳の私が聞いた。

「悪魔って、あの悪魔?」

「そう・・・地球に何人かの悪魔がやってきてね」

 40歳の私が聞く。

「それで、なんで高校生?」

「そいつらが、高校生として侵入してるんだよ」

「マジか・・・」

「マジなんだよ」

「なんで高校生?」


 すると、とてもいいにくそうな顔をする。


「この話は、秘密にしておいたほうが良いな」

「え?なんで」

「この話、”私”以外が聞いているかもしれないからね」


「え?」

 そう言ったあと、10歳の私の目の焦点が合わなくなる。

 どこか遠くを見ている眼。


「それで、3度目の高校生はどうだい?楽しいかい?」

「あはは、高校生って何度経験してもいいもんだね」

「恋愛とかは?」

「あぁ!それはない!」

 笑って答える。


「それで・・息子は?今は何をしてるか知ってるのか?」

 70歳の私が聞く。

「知ってる知ってる。あきれているよ」

「そりゃあ、あきれるだろうね。じぶんよりはるかに年下になっているんだから」

 80歳の私が言う。

「しかし、人間以外とは・・どこまで行くことになるのやら」

 50の私がつぶやいた。

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