第43話 美那の心情⑦
泣くだけ泣いたら意外とスッキリした。喉乾いた。被っていた布団から出てキッチンに行く。冷蔵庫から麦茶を出してコップに入れて一気に飲んだ。あー、生き返った。泣くだけ泣いた自分の顔が、どうなってるか気になって洗面所に行った。鏡を見て驚愕する。
「何じゃこりゃ、あははっ、やばい、この顔。」と自分の顔で笑ってしまった。泣くことはストレス発散になるって聞いた事があった。疑っていた過去の自分に言ってやりたい、これは本当だと。体験した自分が一番実感してるんだから。それよりも明日からどうしよう…。大学は行きたいけど…でもまた、あの人達に何か言われるのは嫌だ。色々考えてると携帯が鳴った。「悠太」だった。
「もしもし。」嬉しくて直ぐに出た。
「美那、どうしてる?」
「今?別に何もしてないよ。悠太は?」
「俺?今日はもう講義無いから、今から美那のバイト先にご飯食べに行こうかと思ったんだけど、今日休み?」泣いてスッキリして忘れてたけど、今、本当はまだ講義中だったって思いだした。余りの嬉しさに直ぐ出ちゃったけど…本当は出ちゃいけない時間帯だった。何か言い訳考えないとと思ってると悠太から
「美那ももう大学終わったの?終わってるなら一緒に飯、食べようよ。」と誘いがきた。行きたい。悠太に会いたい。でも、会っても今日の事は言えない。言って慰めて欲しい気持ちもある。でも…お母さんの事故を悠太に話さなきゃいけなくなる。それを知って逆に嫌われたらどうしようとも思った。ご飯食べる位ならいいよね。だって悠太に会いたいんだもん。待ち合わせ場所に指定したのはバイト先じゃない店にした。だってバイト先は友達に会う可能性が高いから。
「じゃあ、後でね。」と言って電話を切った。こんなに目が腫れて化粧が崩れてたら行けない。直ぐに化粧直ししなきゃ。時間に間に合わなくなっちゃう。
私は今日の事を忘れるように、思い出さないようにしながら身支度を始めた。だって思い出すとまた涙が出てきそうだったから。とにかく今は悠太に会える楽しみだけを考えて支度しよう。身支度を終えて、お気に入りの靴を履いて玄関の鍵を閉めて出かけようと一階に下りるとそこには私の事を心配した友達が来ていた。
「美那、何処かに行くの?」私の姿を見て、みんなが驚いていた。昼間にあんな事があったのに私の姿は遊び用に変身していたからだと思う。
「みんな、どうしたの?」
「いやいや、どうしたのじゃないよ。あんな事があって心配してきたのに。美那にとっては大したことじゃなかったの?」怒り気味だった。
「そんなことないよ。」私は精一杯、否定した。
「そうなの?嬉しそうに出かけるじゃん。心配して来てあげたのに…損した気分。」みんなにどう説明しても、この状況じゃ分かってもらえないのも無理はないと思った。私の姿に嫌悪感を抱いている顔をしていた。ここで言い訳しても無駄だと思った。
「みんな心配して来てくれてありがとう。人と待ち合わせしてるんだ。」申し訳ないと心の中で思っていた。私の言葉に少し驚いた顔をしていた。私はこれ以上、みんなを怒らせては良くないと思って(彼氏)とは言わなかった。
「…そうなんだ…解った。」そう言って帰って行った。タイミングが悪かった。本当ならみんなが私を慰めてくれて、これからも友達でいようねって友情が強くなるんだろうけど…。私は友達よりも彼氏を優先した。
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