第42話 美那の心情⑥

 自宅マンションに着いてベッドに行き、布団に潜って思いっきり泣いた。発狂するくらい泣いた。これ以上涙が出ないんじゃないかってくらい泣いた。

何故、知らない人にあんな事を言われなきゃいけないのか。私が事故った訳じゃない。私は悪い事してない。大学にだって迷惑かけてない。普通に授業受けちゃいけないの?お母さんは家族だけど…事故は私とは関係ないじゃん。悔しい、悔しい。

みんなの前で言われたから噂が広まるのが不安。友達にも知られちゃった。みんなも驚いてたな…。そうだよね、今、世間が騒いでる一番のニュースだもん。その娘が友達だなんて嫌だよね。私だって一歩引いちゃうかもしれないし…。友達じゃなくなっちゃうのかな…悲しい。でもあの人たち、友達にも嫌味言ってないかな?そうなったら私、合わせる顔が無いよ。どうしよう…申し訳なくて…友達解消しなきゃいけないかな?私から。

大学は色んな学部があるから、今回の事を知らない人も居るかも。そうなったら大学行っても大丈夫かな…。講義受けたら直ぐに退出すれば解らないよね…。栄養士になる夢も捨てたくない。だって、そのために大学受験頑張って頑張って、希望の大学に入学出来たんだもん。きちんと卒業したいよ。お父さんだって大学は行ってもいいって言ってたし、お母さんも栄養士になる事を望んでた。大学に合格した時に一番喜んでくれたのはお母さんだったもん。大学辞めたらお母さんだって自分を責めちゃう。今、一番辛い思いしているのはお母さんだもんね。私が大学辞めたらもっと悲しい思いをさせちゃうから、やっぱり大学は行きたい。

大体、あの人達は私の事、いつ、何処で気付いたのかな?「里中」なんて全国どこでもいるじゃない。そんなに珍しい苗字でもないし…。そういえば「カマかけた」って言ってた。何でそんな事するのかしら。余程、暇なのか、刺激が欲しかったのか、退屈な毎日を送ってたのかしら。だから暇つぶしで私のお母さんの事故を見て嫌味をいってきたのかも…。腹が立ってきた。貴方たちに関係ないじゃない。暇な人って自分の人生をもっと充実させた方がいいと思うのよね。他人の事に首を突っ込んでないで。あの時、もっと強気に出てればよかったかな?「私じゃない」って知らんぷりするべきだったな。余りに突然過ぎて反応出来なかった。悔しい。

私の頭の中で色んな事が渦巻いて葛藤していた。

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