第37話 美那の心情①

 「おはよう。」大学の正門を通ると同級生が見えたので挨拶しながら駆け寄った。私は栄養士になりたいと思ってこの大学に入学した。何故かって?人は生きていくためには食べる事が一番大切だと思っているの。

 でも、今の時代は昔の日本のような食事形態は薄れつつあると思う。時代が進化していく中で食事も欧米化するのは、外国人が多くなってきている背景が理由の一つかもしれないわね。まして食事も欧米化が進んで、日本人の体質には不向きだとも私は思っているの。身体の作りは日本人なのに食事内容は欧米化。だから肥満やメタボリックシンドロームなんて体型が多くなってきているんじゃないのかなぁ。でも欧米の食べ物って美味しいよね。だから欧米の食べ物を否定はしない。だって私だってステーキやハンバーガー、ピザなんて大好きだもの(笑)。

 でも日本にある美味しい食事も沢山あって伝統的な物も多く存在している。醤油や味噌、豆腐に梅干しは代表的な物よね。そんな日本の良い所を勉強しつつ、将来は栄養士になって食事の大切さを伝えていける仕事に就きたいと考えている。できれば、管理栄養士が最終目標なんだけどね。そこまでなるには大学で一生懸命勉強するんだって決めたの。

 お父さんやお母さんも理解してくれて「頑張れ」って応援してくれた。一人暮らしは少し寂しいと不安があったけど、意外と出来てる自分に「やれば出来る」って思ってる(笑)家では基本、お母さんが食事を作ってくれていたわ。でも高校の1年の後半位からは栄養士になりたいと思っていたから夕飯の手伝いもしたの。そんな経験もあって一人暮らしでも、食事の支度は苦じゃないのはお母さんのお陰かもね。


 みんなと一緒に講義室に入って講義を受けた。大学に入ってから新しい友達も沢山増えた。夕方からはアルバイトを始めた。ファミリーレストランのバイト。マンションの駅近くだから、夜が遅くなっても自転車で帰ればすぐ着くからそんなに不安はない。だからこのファミレスを選んだってのもあるの。だってお父さんが

「バイトしなくてもいいように仕送りする。」って私の話なんて聞いてくれなかったんだもん。危ないとかってずーっと言ってて。お母さんは

「短い時間なら良いんじゃないですか?」って援護してくれたけどダメって。お父さんが意外と頑固だったって、この時初めて知った感じ。私の中ではバイトは社会経験の一環だと思っているの。何事も経験は必要でしょ。反対しているお父さんにはバイトの事は内緒。お母さんには言ってある。万が一、何かあった時に困るから保険みたいな感じで伝えた。週に四日程度、一日三時間位。でも土日は一日入る事もあるかな。店長にお願いされた時はなるべく勤務するようにしてる。でもお金が欲しい訳ではないから無理はしないんだ。店の人たちも良い人が多いから、この職場で良かったって思う。私の大学生活は今、とっても充実してるの。

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