第18話 龍之介の葛藤③
お父さんが強く抱きしめて
「よく頑張った、誰も居ないからいっぱい泣いていいぞ。」と言ってくれた。僕は声を出して泣いた。いっぱい泣いたら少しスッキリした。お父さんが学校で何があったか教えて欲しいと聞いてきたから、今日あった事を話した。僕は学校に行きたいけど…また同じように虐められるのは嫌だって強く思った。
「風邪引くといけないからシャワー浴びてきなさい。学校にはお父さんから連絡しておくから。」
「うん…」
僕は冷えた身体に熱いシャワーを一気にかけた。身体が温まると生き返った感じになった。シャワーを頭に浴びながら今日の出来事を思い出していた。僕は悔しくて悔しくて涙が止まらなかった。頭から流れてくるお湯で涙を流し、お父さんにまた泣いていたと悟られないように浴び続けた。だってお父さんが心配するから…。
頭をバスタオルで拭きながらリビングに行くと、お父さんが電話の前で立ち尽くしていた。学校で何かあったのかと思って
「電話、誰だったの?」と聞くと、
「あぁ…間違い電話だった。」
「学校には電話したの?」僕は学校の事が気になった。
「先生が居なかったからまた後でかけ直すよ。」
「分かった。夕飯まで部屋に居るね。」お父さんの様子がいつもと違うって思ったけど、お母さんの事で疲れているのかと思って、それ以上は声を掛けなかった。
部屋に入って、今日起こった事を思い出していた。僕は明日から学校に行けるのか不安になった。受験生なんだから、とりあえず自主勉強しようと机に向かった。
だけど…学校の事が気になって勉強が手に着かず携帯を開いた。開いて後悔した。
学校の裏サイトには目にモザイクが掛けられた僕の顔が映っていた。モザイクが掛かっていても僕だと分かった。下には(人殺しの子ども)と記載してあった。
何で、誰がこんな事をするんだと怒りが込み上げてきた。僕はもう学校にはいけないんじゃないかと思った。
僕は何もしていない。
お母さんだってわざと事故を起こした訳じゃないのにとずっと考えていた。
僕は携帯を閉じた。今日の事を忘れるかのように勉強に集中した。また何時か必ず前のように、みんなと友達に戻れると、この時の僕はそう信じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます