第11話〜最終話『少年と青い鳥』
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その後のお話です。
あの日、少年と青い鳥が再会し、そしてお別れをしました。
それからのお話です。
決してめでたしめでたしでは終わらなかった物語。
その後日談とも言うべきお話です。
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青い鳥がいなくなったことで、屋敷は連日大騒ぎでした。
莫大な富をもたらす青い鳥がいなくなってしまったのですから当然です。
青い羽によって栄えた領地は、他に目立つ特産品などはありません。
あればあんなに貴族とは名ばかりの貧しい暮らしはしていません。
そして領地は瞬く間に元通りに…
どころか以前よりもさらに貧しく荒れ果ててしまいました。
栄えるまでも早かったですが、廃れるのはその半分の時間もかかりません。
一度豊かさを知った人々は、簡単には元通りの貧しさには戻れないのです。
領民たちは初めて訪れた好景気にどんどん新しい物を買い込み、古い物を新しい物に替え、そしてこれからも続くはずの豊かさを見据えて借金をしていた者がほとんどでした。
家を建てるのも、土地を広げるのも、これからの発展を見越した未来への投資です。
ハリボテだった領主の館が立派に建て直されたのを機に、良くも悪くも周りの目を窺って周りに合わせなければならない領民たちはどんどん変わっていきました。
なにせ自分たちの住む土地の領主が、国王のお墨付きとも言える爵位を賜ったのですから。
閑話休題
払う当てがなくなれば借金は泥沼のように抜け出せない地獄のようなもの。
さらにタイミングは重なり、領主は罪人として捕らえられたてしまったのです。
青い羽を買った大貴族、大商人、さらには王族からの反感を買って。
それはなぜか。
無理やり抜いた羽に、奇跡の力は残っていなかったのです。
商人どころか貴族、王族にまで偽物を売ったとあっては当然家は取り潰しになり、領地も取り上げられてしまいました。
こうしてほんの一時、栄えた領地は王国の地図から姿を消しました。
そして…
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そして、少年は…
親友と別れ、家族はバラバラになり、何もかもを失った少年は、どうなったのか。
結論から言いましょう。
彼は二度と青い鳥と再会する事はありませんでした。
たった一人の友をなくし、家族を失い、残ったのは一枚のくすんだ羽と奇跡の宿らない青い羽。
母親の形見の笛すら手放さなければなりませんでした。
たった一人、一からやり直さなければなりませんでした。
勉強をはじめ、多くのことから逃げていた少年にとって、それはとてもとても大変で、何度も心が折れそうになった事でしょう。
しかし、少年は諦める事なく、真っ当に、生き続け、その生涯を全うしたのです。
楽な道はありました。
逃げ出すこともできたでしょう。
しかし少年は最後まで誠実に、その生を終えるまで生きました。
少なくとも、青い羽を高値で売り払うなどすれば、楽をすることもできたかもしれません。
しかし、辛い事、きつい事はあったけれど、少年は羽を手放す事なく、必死に生きていくことを誓い、それを守ったのでした。
そして…
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そして、必死に生きて、頑張る姿をずっと眺める姿がありました。
それはあの青い鳥、ルリルルです。
その姿は透明で、決して人の目には映りません。
友と別れ、姿を消したルリルルは声の届かない森の奥でなき続けました。
ルリルルは少年とまた歌い合い、遊びたい気持ちで一杯でした。
しかし姿を見せてしまえば再び悲劇が起こるかもしれません。
森の奥深くで悲しみに暮れてなき続け、いつしか高く綺麗な鳴き声は枯れ果てました。
それでも共に在りたいとなき続け、祈りました。
そしていつしか、青く透き通る羽は透けて透明になり、人の目に映らなくなっていたのです。
神様が悲しみに暮れるルリルルに同情して奇跡を起こしたのか、それは分かりません。
ルリルルは、少年の近くで見守り続けました。
最後のさいごまで。
…………。
こうして少年と青い鳥の物語は幕を閉じます。
長い月日が流れ、青い羽はその後、身を滅ぼす例えとして言い伝えられるようになりました。
もう誰も、ルリルルを見つけることはできません。
青い鳥は今も森の奥で静かに暮らしています。
童話【少年と青い鳥】 砂上楼閣 @sagamirokaku
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