創造者のティータイム

 ある日、土塊は動物達のつがいを目にして思ったそうだよ。

『自分にもあんな風に話せる相手が欲しい』って。

 土塊は感情を与えられていたから、そんな風に思ってしまったんだね。

 それとも、本能に従おうとしたけれど、番が見つからなくて混乱してしまったのかもしれない。

 …でもね。

 話し相手が欲しかったのは、土塊だけじゃなかったんだ。

 「1番最初に話し相手を求めたのはだあれ?」

 ふふふ。

 そんなに焦っちゃいけないよ。

 でも、独りで居続けなければならない運命にある神様は、きっと寂しかっただろうね。

 だから、自分専用の話し相手が欲しかったのかもしれないよ。


 「私にも、話し相手を創ろうとしたの?」

 最初はね。

 「でも、私は話し相手を望まなかった。」

 そう。椿は話し相手を望まなかったね。


 「だって、私には望まなくても話し相手がいたんだもの。」


 紅茶を口に含む彼女を眺めながら、頬杖をついて瞼を閉じた。

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