お金じゃ買えないモノの値段

 テレビのニュースを観ていた時、虐めを受けて自殺した子供の親が慰謝料請求をしている様子を伝えていた。

 それを見て、子供心に『変だなぁ』と感じたんだ。

 学校では、『命はお金では買えないんだよ』と教わった。

 それはつまり、命に値段が付けられないという事ではないんだろうか。

 しかし、この親はお金を請求している。

 つまり、命に値段が付いたのだろう。

 これがもし、自殺ではなく怪我とか治療が必要な場合はその費用を請求するんだろうけど…。

 例えば、交通事故で車を傷付けられたら、修理代を請求する。

 例えば、芸能人が犯罪を犯した時、企業側は本来獲られるハズであった利益等を請求するのだろうか?


 なら、子供達に付いた値段は何?

 誰かに殺されたのなら、車と同じで傷付けられた分ってことかな。

 じゃあ、自殺は?

 自分から死を選んだのに…

 壊れ物扱いされてしまうなんて…。まるで、死を選んだ意思を無視された気分になった。

『気付いてあげられなくてゴメンね』

 と、涙を流す大人達が何故大金を得るのだろうか。

 まだ、家計を支える力も無い子供なのに。

 サラリーマンやOLになるかもしれないし、学者や専門家になるかもしれない。

 けれど、ニートやホームレスになる可能性だってあるじゃないか。


 ああ。

 自殺していった子達についた値段は、命ではなく家族の癒しと失った『可能性ある未来』のためなのかもしれない。

 けれど、仮に自殺せずに引きこもったら親はストレスで発狂し、病気になってしまうと喚き散らすんだ。

 外部からのストレスと、内部からのストレスに苦しめられるのか…。

 内部からのストレスってものすごく重いんだよね。

 何もしてない…気づくことすらできなかった内部が被害者面するのを見ているのが嫌だった。

 だから気づいて…。

 信じないで欲しかった。

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