落陽
紙巻きをふかしながら、俺はベランダからかなたの空を見ていた。
太陽がゆっくりと、己の身を溶かしながら沈んでいく。見つめていると目を刺す赤さに涙が出る。
瞬くと、涙は頬を撫でるように滑っていき、否応にもあの日の感触を想起させた。
―そうやって感傷的になるのは魂を削る悪癖だぜ、自分よ。
脳内で独りごち、吸いさしを手すりに押し付ける。それだけで「吸いさし」は「殻」に変わる。何という虚しさ。
―どうせ全てはこれと同じだ。忘れろ。
潰れた殻は、吹き始めた風に飛ばされ見えなくなった。
お題「サヨウナラの街にて」
https://twitter.com/hacca0505/status/1367017855338770435
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