09 ENDmarker2.
彼が消えて。
全てが、まるで彼が最初から存在していなかったかのように、動いている。彼の席はない。彼の姿も。
漫画。
漫画は、存在していた。5巻。買ったけど、読む気が起きなかった。これを読んで、そして、読み終わったとき。なんとなく、彼のことを忘れてしまいそうな。そんな気がしたから。
ゆっくり、じわじわと、関係を詰めていこうと思った。でも、もう、彼はいない。存在自体が、ない。どこにもいない。
そう。
わたしの左胸と同じ。
彼の手の感覚。なんとなく、思い出す。
それからは、左胸と下着の間に綿を入れている。見た目上は、ちゃんとした普通の胸。ようやく、普通の人間になれた気分。
それでも。左側は、彼の領域。彼にしかさわらせない。なんとなく、そんなことを思いながら、日々を過ごす。
彼は、いない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます