第9話

 お昼ご飯も、メリッサさんのご厚意で頂くことになり、午後は午後で三人に魔法を教えていたりしているうちに夕方になった。


 まだまだアリスのお父さんであるアレックスさんは帰宅していない。


 ちなみにだが、アリスがメリッサさんに、引越しを伝えていない旨はどう言ったことなのか、と言うことを聞いていたのだが、その事を聞いたメリッサさんは首を傾げていた。


 曰く、その事については、きちんとアレックスさんが既に手紙で書いて送っているはずということ。


「……これ、忘れられている可能性あるくね?」


「そんなまさか……引越しって結構大切なことよね?それを伝え忘れるはずが……」


「ただいまー!!」


 そんなことをルーナと話していたら、男の声が家中に聞こえた。その声を聞いた瞬間、アリスはダッシュで玄関へと向かっていった。


「お父さん!」


「アリス!?いつ帰ってきたんだ!?お帰り!」


「お父さん!私引越しについて知らないんだけど!?」


「…………あ」


 その後、綺麗なバチーン!と言う音が響いた。アリスが先程出ていった扉からは、アリスに連行されてきて、頬に手のひらの形をくっきりとつけているアレックスさんと思わしき人物が。


 ………そんなまさかだったな。







「大しておもてなしも出来なくてすまなかったな、ティルファくん」


「いえ、こうして見送ってくれるだけで充分ですよ」


 翌日、挨拶を済ませた俺は帰ろうとしており、アリス一家が見送ってくれた。


 昨日、アレックスさんにも娘をください発言をしたのだが、ここでも特に何かあった訳でもなく、速攻で終わった。


 その後が大変で、アレックスさんは「これは目出度い!」と言い出して酒を飲んでベロンベロンに酔った。そしてだる絡みされた。あれは二度と思い出したくないので深くは語らない。


 そして、今に至るのだがアレックスさんはなんと仕事に行く時間をズラして態々こうして見送ってくれている。実家に着いたら何か送ってあげよう。


「娘をよろしく頼む」


「はい、お義父さん」


「待ってくれ。もう三回だけ呼んで―――――」


 はい、転移。


「あーー!!!」


 なんか叫び声が聞こえたような気がするが気の所為である。一瞬にして景色が変わり、ディルソフ邸へと戻ってきた。


「お帰りなさい、ティルファくん。どうだった?」


「フィア姉?」


 そして、目の前にはフィア姉がニコニコ笑顔でスタンバっていた。とりあえず俺は質問に答えることにした。


「まぁ……なんというか凄い個性的だったよ。ところで、どうしてフィア姉はここに?」


「そんなの、二日もティルファくんに逢えなかったんだから、こうして逢いに来たの」


 フィア姉は、そう言うと俺に抱きついてくる。ぎうー!としっかり背中まで手が回され、なんか良い匂いがしてきたような気がする。


「せんせ――――あ、いえ、ティルファさん!」


「メリウス!?あ、ちょまっ―――ぐへっ!?」


 そして、フィア姉の後ろから特攻してきたメリウスのダイビングホールドには耐えきれず、俺は地面に背中を打ち付けることとなった。


 とっさに魔法で衝撃を受け流していなかったら致命傷だった。


「あらら……大丈夫?ティルファ」


「ルーナ……見てないで助けてくれよ」


「きちんと沢山の女の子を惚れさせた責任を取りなさい。行くわよ、アリス」


「え、いいんですか?」


「いいのいいの。二日合わなければあんなになるほど惚れさせたティルファが悪いんだから」


 そう言って、アリスの手を引っ張って家の中へ入っていった二人。せめて起こすぐらいはして欲しかった。


 その後、俺は二人が満足するまで物言わぬ人形として二人にされるがままにしていた。フィア姉だけじゃなく、メリウスまで飛んでくるのは少々意外だった。


「はー……満足した。ありがとう、ティルファくん」


「ご、ごめんなさいティルファさん!ティルファさんの姿を見たら、無性に抱きつきたくなってしまって……」


「まぁあんまり気にするな」


 メリウスの髪を優しく撫でる。そうすると、メリウスは一瞬だけピクっとしたが、直ぐに目を閉じて気持ちよさそうにする。


「そうだメリウス」


 家に帰ったら、メリウスにこのことを伝えようと思っていたので、これ幸いと今の内に伝えておくことにする。


「行くぞ、お前のお父さん――――エイデリアンさんのとこに」


 次の目的地は、フォレストキシニョフだ。



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ファズモフォビアたのちい。アジアサーバーでマルチに結月アオバがいたら作者です←昨日大体八時間くらいやってた


P.S

昨日ラノベ講談社からメールが来たんですけど、一次選考者に評価シートを送付しますってきたんですけど、そもそも出していることすら忘れていた。13回新人賞の一次選考通過者の一番上にいました。

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