第8話
「いいか、三人とも。魔法に必要なことはイメージだ。どれだけ強いイメージが出来るかで成功度が違ってくる」
「いめーじ?」
「なにそれ」
うぅむ……子供に対してイメージという言葉は難しいか……どうやって説明するか。
「そうだな……じゃあこうしよう」
俺は指をクイッと曲げると、そこら辺に落ちている木の枝を拾って三人の目の前に置いた。
「すげー!それも魔法!?」
「鍛えれば誰でも出来るようになるよ。それで、今からやるのはお絵描きだ」
「「「お絵描き?」」」
「そう、お絵描き」
俺は、木の枝を持つと地面にスラスラっと三人が覚えようとしている
歯止めが聞かなくなって、庭の一角が落書きだらけになって父さんに怒られたな。
「お兄ちゃん上手!」
「ありがとう、ヒカリ。こうして、強い魔法使いは綺麗に魔法の絵を描くことができるんだ」
イメージというものは、頭の中で思い描いているのをどれだけ強く思い起こすことが肝だ。
魔法は、ぼんやりとしていても大体の形は再現してくれるのだが、その再現の方に魔力を喰われてしまうので必然的に威力が落ちるということだ。
「まず最初は、俺の絵を見ながらでもいいから火の絵を描いてみて」
そう言うと、三人は地面に一生懸命火の絵を描き始めた。最初はただのまん丸だったり、到底火とは言えないぐっちゃぐちゃの何かだったりした。だが、回数を重ねるうちに、俺の絵を見ないでもそれなりに『火』の形が描けるようになったため、ここらで1発発動させてみようと思う。
「はい、それじゃあ俺の言葉に続いて。『火となり、敵を撃ちたまえ』」
「「「火となり敵を撃ちたまえ!!」」」
先程行ったのは所謂『詠唱魔法』というものだ。これを行うことで、威力は無詠唱よりも何ランクも下がるが、イメージが出来ていればほぼ確実に魔法を発動することが出来る。
そして、それはしっかりと成功したようで、ひょろひょろ~とだったが、三人の手から拳ほどの火の玉が出てきた。
「で、でたー!!」
「すっごー!!」
「でも、お兄ちゃんよりも何だか弱い……」
「最初はみんなそんなものよ。あのお兄ちゃんがおかしいだけだから」
言い方……。
「ティルファさん、子供達のお世話をして下さりありがとうございました」
「いえいえ、俺としても貴重な経験ができたので良かったです」
その後、買い物を終えたアリスのお母さん――――メリッサさんが家へ帰宅。見知らぬ人(俺ら)がいるのと、アリスが帰ってきてるのとで一通り驚いた後に事情を説明した。
俺がティルファと名乗ると、「あぁ~」といった感じの表情をしたが、多分ルーナと同じパターンだなこれ。
「ティルファさん、アリスを嫁に貰って下さり本当にありがとうございます。子供の頃のアリスは、やんちゃで、男勝りで、元気過ぎる子だったので、貰い手が出来るのかと心の中では少し不安に思っていましたが」
「お母さんそんなこと思ってたの!?」
へぇ。子供の頃のアリスはそんな性格だったのか。こうして挨拶に向かうと、子供の頃の話を聞けるからいいな。
「アリスには、色々と助けられましたから」
当時のクズすぎる勇者の行動により、ストレスがマッハに溜まっていた頃、アリスには非常にお世話になった。察してくれて膝枕とかしてくれたし、愚痴り合いとかしたし、心の支えだった。
もし、アリスがいなかった俺、多分あいつ殺してた。
「だから、惚れるのは当然です」
「ティルファさん……」
「あら~。この歳になって何だか胸がドキドキしてきたわ。見ていてこっちが恥ずかしくなりそう」
見ればほんのりとメリッサさんの頬が赤くなっていた。
「アレックスさんもね、それはそれはもうティルファさんみたいにいい男で―――――」
「やば、始まっちゃった」
そしてなんか語り始めた。アレックスさんのやれどこがかっこいい、やれここに惚れた、とか話し始めた。
なんだこれ。
「お母さん、隙があるとお父さんの馴れ初めからどんな経緯で結婚したのかとても細やかに話し始めるんです」
え、そうなの?あ、今馴れ初め編になったなこれ。
メリッサさんによる旦那自慢は、その後空腹を知らせに来たジュン達によって止められるまで続いた。
俺はちらりと横目でアリスを見た。これほどメリッサさんに似た容姿なんだ。この性格が遺伝していてもおかしくはないと思う。
どうか、他人にはやらないで欲しい。俺が恥ずかしくなりそうだ。
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昨日のフェブラリーS。カフェファラオ入れてたら三連複だったのに………!ソダシ、テイエムサウスダン、カフェファラオといけたのに………!何故だレッドルゼルー!!
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