第5話
翌日、俺は魔法学校の方へアテナ様を伴って向かった。その理由は、メリウスが現在の『銃』の保有者であるため、邪神を討伐するためには彼女の力が必要だからだ。
アテナ様曰く、今現れている邪神を完全に討伐するためには、最低でも13あるうちの6本は必要。
既に、その半分は俺、メリウス、メルジーナ様で埋まっているため、残り三人。
昨日の夜のうちに、アテナ様は一時的に神童化させ、神器を託す人選を決めたらしい。
それは、姉さん、ルーナ、そしてカレンの三人である。
姉さんとルーナは既に邪神討伐に参加することを了承しているのだが……これから協力を頼むメリウスとカレンには参加して欲しくない。
いくら神童、神童になると言っても死ぬリスクが無くなる訳では無い。対策を間違えば普通に命を落とすこともあるし、邪神相手だと尚更だろう。
「そんなに心配しないでも大丈夫。我が愛し子」
「アテナ様」
そんな心配が顔に映っていたのか、アテナ様が俺の肩を叩く。ゆっくりと振り返ると、アテナ様がグッ!と親指を立てた。
「君達には私の加護をあげるから、死ぬという概念は考えなくていい。安心して、50回は軽く死んでも良いように強い加護あげるから!」
「それ全く安心出来ないんですが」
全くもって安心出来ないアテナ様の言葉を聞きつつ、特例クラスへと向かう階段を登る。というか、アテナ様クラスになると死の運命する回避できるようになるんですね。
そんなことを思いながら、学園の最上階へとたどり着き、特例クラスのドアを開ける。まず目に飛びこんできたのは、三人が卒業課題達成のために集まって話し合っている光景。
「だから、ここを――――こう線で繋いで……」
「うーん……それ、メリウスちゃんだから出来ることで、私たちにはちょっと魔力消費量が多いかなぁ……」
「ですわね、一般の方々達にも使えるように改良するとすれば――――」
「メリウス、カレン、メアル」
どうやら、ドアを開けただけでは気づかないほどの集中力を見せる三人。声をかけるとようやく気づいたようで、三者三様の瞳が俺を貫いた。
「先生!」
その中で、特に一番強い反応を示したのはメリウスだった。ガタン!とイスを倒す勢いで立ち上がり、こちらへと駆けてくる。背後でカレンが「あ!出遅れた!」と呟いた。
「先生!」
「おっと」
そして、メリウスはそのまま俺にダイブしてくるので、しっかりと抱きとめる。
「先生!会いたかっ………た………」
「?」
俺を見上げ、嬉しそうな顔から一転、俺の背後を見て表情が消えた。疑問に思い、後ろを向くと、何故かいつの間にか俺の背後から抱きついているアテナ様が。
――――え、何してるんすかあなた。
「………先生?」
「待てメリウス。一回話そうか」
決して勘違いするなよ。この方は決して俺の新しいお嫁さん等という大変恐れ多い言葉で纏めるんじゃないぞ。
それとカレン。君は君で「また新しい女……」と呟いて膝を着くな。違うから。
「……はぁ、アテナ様。あまりメリウス達を刺激させないでください」
「あはは、ごめんね。ちょっとからかってみたくて」
「先生?」
「とりあえず、一回二人とも離れようか」
そう言うと、メリウスは潔く離れてくれたのだが、アテナ様が全然離れなかったので、頭に軽くチョップする。「あう」という言葉を無視して、スタスタと教壇に向かって。
「えー、こちらにいらっしゃるのは太古の時代に、我々人類に魔法を教えてくださったアテナ様だ。知恵の神、魔法の神という名前で我々魔法使いの間では広まっている」
「ちょっと、そんなあっさりとしたネタバレはないんじゃないか?」
「………………え?」
俺のサラッとした紹介に、アテナ様が苦言を申す。いえ、普通にしてくだされば、俺ももっと丁寧にすんごく持ち上げる紹介をしたんだが……。
「「「えええええええええええ!!!!」」」
その日、特例クラスに三人の悲鳴が響いた。まぁそうなるよな実際。俺も最初聞いた時はマジでびっくりしたし。
「ティ、ティルファ様!?本当に本当なんですの!?」
「おう、本当だぞ」
「――――っ」
メアルが驚きか何かで知らないけど、机に突っ伏した。あれは――――気絶してますね。
………そうか、俺やルーナ、アリスは魔神とか悪魔とかそこら辺と出会ってなんか超常的な存在に耐性が出来ているが、メアルはそんなことないもんな。
神と出会って気絶しない俺らが異常なだけだわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます