第2話
「なんだあの気持ち悪いの」
「触手だ」
いや、それは見れば分かるけど……え、あれキモすぎない?
海からザッパーン!と出てきてうねうねとうねっている魔神ビンスフェルトの触手。うーん……目測だが大体30mって所か?かなり大きいな。
そんな感じで眺めていると、突如として触手の動きがとまった。その行動と、触手から放たれる殺気から俺たちが狙われるということに気づく。
俺は、咄嗟にティルの手を引いて後ろに下がらせる。すると、触手が俺たちに向かって来るのを捉える。
「展開」
左手を前に出して魔法を発動させる。触手は、俺たちに届く前に結界によって動きを止められるが、ぶち破ろうと尚も突き進む。
俺は、前に突き出している左手を横に振る。そしたら触手が勢いよく後方に吹き飛んだ。
ティルが持っていた憤怒の剣サタンの能力からヒントを得た魔法『
「ふむ、流石はご主人様だな。私が生まれた場所でも、ご主人様程の魔法の使い手はいない」
「まぁな。この程度出来ないと歴代最優なんて名乗れないからな」
最強はメルジーナ様。あの人だけにはマジで勝てない。
「……しかしまぁ、まだ元気そうだな」
「末端ではあるが、あれも魔神の体の一部だ。タフなのは仕方ないさ。それに、本番はここからのようだご主人様」
「らしいな」
海の下から感じることが出来る強力な反応が三つほど。ザッパーンと海柱が三つ出来上がると、そこから同じ触手が三本出てきた。
「ちなみに、あれって本体と繋がってたりするか?」
「いや、あれは繋がっていない。自ら触手を切り離して先兵として放ったものだな」
「あれが先兵?」
……厄介だな。この触手が先兵なら、本体はどれほど強いんだろうな。
「さらに言うならば、あれにも少しは七つの大罪の権能が宿っている」
「めんどくさいってレベルじゃねぇな」
よくミカエラさんは一人で封印できたよな。どれだけ強かったのかめちゃくちゃ気になる。
「来い、ベルゼブブ」
名前を呼ぶと、虚空から現れる暴食の大剣ベルゼブブ。俺もティルのようにベルゼブブを呼び出したりとか出来るか?とここに来る前に聞き、「私のようにベルゼブブも屈服させればいける」との事だったので屈服させた。
方法はとりあえずティルの時と同じようにひたすら膨大な魔力を注ぎ込んだだけ。最初は飯だ!みたいな感じで喜んでいたが、その後すぐに許容量を超えたのか、魔力を受け付けなくなった。
その後、参りましたと聞こえたような気がする。ティルに聞くと完全に俺の物になったようなので、こうして呼び出したら来てくれるようになった。
「さて、アリスの時はいいようにやられちゃったからな。ここらで発散しておくか」
「手伝おう、ご主人様」
「助かる」
ティルも聖剣ティルフィングを構える。
……そういえば、ティルが持っている聖剣拾ったって言ってたよな?姿形を似せただけで聖剣を使えるのか?
疑問が湧き出たのでチラリと見る。まぁ、最初に襲ってきた時に普通に使えたから問題はないんだろうが……。
まぁいいか。さっさと倒して本格的に魔神を倒す準備を進めておかないとな。
「ティル、いくつやる?」
「なら、半分貰おうか」
「了解。死ぬなよ」
「案ずるな。存在として見るならば、私の方があれよりも上だ」
そして俺たちは、砂浜を蹴った。ティルが右側二本へ向かっていき、俺がその反対にある左側二本。突撃したことに気付いた触手が、すぐさま迎撃の為に触手を伸ばしてくるので、ベルゼブブで受け止める。
衝撃のエネルギーやらダメージやらをパクパクとベルゼブブが食べていくのを感じる。反対側から攻撃を仕掛けてきた触手を
思っていたよりも
ベルゼブブで受け止めた触手の勢いが完全に無くなったのを感じてから、思いっきり触手を吹き飛ばす。
「よし、ベルゼブブ。解放するぞ」
溜め込んだエネルギーの放出。範囲はそれなりに限定することで威力を高めて、塵となるまでぷッパなす。
「フンっ!」
両手で持っている大剣を肩まで持っていき、右斜めの斬り落としをすると、大剣の剣閃からビームが放たれた。
それは、一直線で触手に向かっていき――――触手がそれを避けるために無数に分裂をした。
「はぁ!?」
俺は、驚きのあまり硬直してしまった。確かに出力をあげるために範囲を狭く限定していたとはいえ、あんな避け方ありか!?
そして、触手はそんな俺のスキを見逃すわけがなく、無数に分裂した触手が俺に巻き付くのであった。
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残念だったな読者よ。触手プレイ?そんなの俺が女の子にさせるわけないだろうがっっっ!!!!
あ、新作二つ出してます。宜しければ読んでください。
『魔導少女達とススムミチ!』
『ドイツ人の美少女義妹は既に付き合っているつもりでいる。』←題名変えました
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