魔神復活
第1話
「……おいおいおい、いくらなんでも早過ぎないか……?」
目の前に広がる海は、これから何か起こりますよーと言っているかのように黒く染まっている。
「……っ!まだ、避難も何も始まっていないのに……!」
ラミュエールが悔しそうに呟きながら、拳を強く握りこむ。
「とりあえず、私達で避難誘導をしておきましょう?」
「そうですね、この事態ですから飛行船も出てくれるはずです」
ルーナとアリスが後ろからラミュエールに話しかける。その言葉を聞いてハッ!としたラミュエールが、頭を二度強く横に振った。
「そうですね……今やることは、このような事態に打ちひしがれるのではなく、行動をすること……」
決意の籠った瞳で俺たちを見るラミュエール。
「皆さん、どうか協力してください」
「任せてください!」
「出来ることは少ないと思うけど、頑張ります!」
最初に反応したのがカレンとメリウス。アリスとルーナは互いに見つめあって同時に頷く。
「当然だ。怪我人も死者も絶対に出させない」
「頼りになりますティルファ様……では、参りましょう」
「まぁ待てラミュエール。効率良く、この島全体に危険を促す手段が存在する」
「本当ですか!」
「あぁ。いいか?ラミュエールはこの島は現在危険ということを知らせればいいんだ」
指をパチン!と鳴らす。それだけではまだ何も変化起きないため、全員が首を傾げたが――――
「わっ!外にラミュエールさんが!」
「えっ!?」
一番最初に窓を見たアリスが外に浮かぶ巨大なラミュエールの姿を見て声を出した。それに釣られて全員が窓を見た。
「また先生がとんでもない魔法開発してる………」
「ふむ。流石はご主人様だ」
「先生、凄い……」
「ほら、ラミュエール」
「え、あ、はい!」
ボーッとしていたラミュエールを促すと、コホンと咳払いをした。
「現在ヌワイ島にいる皆さん。私は聖女ラミュエールです。この島に今、危機が迫っています。繰り返します。この島に今、危機が迫っています。皆様、避難をよろしくお願いします」
ラミュエールが視線で終わったことを知らせてくれたので、もう一度指をパチン!と鳴らす。すると、外にいた巨大なラミュエールは消え去り、あそこには霧だけが残った。
「ティルファ。さっきの魔法は?」
「投影魔法と音を拡声させる魔法の融合。名前は特にきめてない」
原理は、投影魔法で霧を媒介としてラミュエールの巨大な姿を作る。そしてこの場にいるラミュエールの声がこの島全体に響くように音を広げた。やろうと思えば誰でも出来る。
「とりあえず、俺達は避難誘導を急ごう」
「そうですね。先程場を離れた時に、既にアルフレッドには急ぎの飛行船を飛ばすようにと、この世界が危機にあることを知らせるようにと連絡をしておきました。今頃、手配は既に終わっていて、飛行船も間もなく来るでしょう」
「あのおっさん、優秀なのな……」
俺は思わず遠い目をする。だって、あのおっさんとのファーストコンタクト最悪だし。いきなり殺気ぶつけられて殴られたもん。
「えぇ、自慢ですよ」
「それなら、俺を連れてくる時はもうちょっと穏便に済ませて欲しかったけど」
「ティルファ様。人には出来ることと、どうしても出来ないことがあるのです」
「開き直ったな」
いいのかおっさん。ラミュエールに制御出来ないものとして認識されてるぞ。
現在俺達が宿泊している所の避難誘導は、一旦ラミュエール達に任せ、俺とティルは外に出ていた。
「ご主人様は『イカ』という生き物は知っているか?」
「イカ?」
全く知らない単語が出てきたため首を傾げる。俺が外に出ている理由は、ティルに魔神について聞くこと。それと、その魔神について小手調べをしておいた方がいいとティルに言われたからだ。
「む、この世界にはイカはいないのか。ではご主人様よ、簡潔に言うと―――――」
ザッパーンと言う音が聞こえ、海の水が盛り上げられる。そこから姿を表したのは―――
「――――魔神『ビンスフェルト』。数多の触手の王だ」
「触手…………」
――――見ただけでちょっと吐き気を催すような触手だった。気持ち悪っ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日この後と、夕方に新作をだします。宜しければ読んでください!
この後更新↓
『魔導少女達とススムミチ!』
夕方更新↓
『既に付き合っていると思っている義妹VSただの激しいスキンシップだと思っている義兄』
後ろにダー〇ライは付きません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます