第11話
その後、軽く四回ほどアリスに相手をしてもらったのだが悉く全敗してしまったので、途中から大罪武器の訓練に混ぜさせてもらった。
その際、メリウスが「いつまでも大罪武器と呼ぶのは可哀想」と言い出したので、名前を考えることになったのだが………。
ハッキリ言うと、俺に名付けの才能は無い――――というよりも、何も思いつかなかった。
そのため、申し訳ないがメリウスに丸投げさせてもらった。すまんメリウス。俺は無力だ。
「えと……えっと……」
頭を悩ませているメリウスを見る。そういえばだが、大罪武器は俺と戦っている時もそうだったが、今も七本の武器とは全然関係ない武器を使っているな。
「なぁ。お前が今持ってるその剣はなんだ?」
「これか?参考にしたこの体の持ち主のものだろうな………聖剣『ティルヴィング』。近くに落ちていた」
「え、聖剣………?」
ということは、元々は勇者だったのか。
「聖剣ティルヴィング……!閃きました!」
色々な疑問が出てきたが、名前を閃いたメリウスへ一旦視線を向ける。
「ティルヴィングから取って『ティル』というのはどうでしょう!」
「ほう。悪くないな」
ということで、大罪武器改めティルとなった。
「…………!」
超覚えがある気配を感じて上を見る。このままティルに対して質問をしようとしていたのだが、それも全て吹き飛んだ。
「ご主人様?」
「先生?」
「………おいおい、なんの冗談だよほんと……」
空をずっと見続けていると、遠目にヌワイ着の飛行船の姿が見える。そこから溢れ出る黄金色のオーラ。
間違いない。俺は嫌という程あいつのオーラを近くで見てきたからな。間違えるわけが無い。
「なんで、お前がここに来る。クズ勇者が」
「……いるな」
「勇者様?」
同時刻、目を閉じていたエリアスがポソりと呟いたのを、レジーナはしっかりと聞いていた。
「チッ、どうして行く先いく先にお前がいるんだ役立たず………」
エリアスも、しっかりとティルファの存在を感知し、忌々しげに床を見つめた。その視線の遥か先には、ティルファがいるのであった。
ヌワイの海域。水深8000メートルほど。そこには一つの剣が海底に突き刺さっていた。海中にあるにも関わらず、錆びることなく当時の美しい姿のままを保っているその剣に、ピシリと一筋のヒビが入った。
ティルが近くに落ちていた聖剣ティルヴィングから思念を読み取り、体を構成して地上に出てから約10時間後。
そのヒビは、瞬く間に剣全体へと行き渡り――――爆散した。
ティルが予想していた二週間以内という予想は大きく早まってしまった。
刺さっていた穴から勢いよく黒色の触手が溢れ出し、瞬く間に深海を更に深く、黒に埋め尽くす。
『―――――久方ぶりの外か』
その中で煌めく二つの赤い瞳。
魔神、復活である。
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