第9話

 いきなりご主人様と呼ばれ、背後にいる四人から冷ややかな目で見られ、多少気まずい雰囲気になりながらも一旦俺たちはホテルへ戻り、この大罪武器への事情聴取を始めた。


「よし、まずお前の目的を話せ」


 大罪武器に関しては、特に拘束することも無く、普通にソファに座らせてから行っている。俺とこいつの中に確かな繋がりがある以上、俺達を襲うことは確実にない。


「目的……と言われても、私は元主人――――あの魔神に小手調べをしてこいと言われただけだ。あえて言うならばそれが目的か……」


「あなたが目覚めた……という事は、魔神の復活が近いということで間違いないんですよね」


 俺の次に質問をしたのはラミュエールだ。控えめに手を挙げて質問をし、大罪武器はそちらへ目を向ける。


「その通りだ今代の聖女。もうすぐ―――少なくとも二週間以内には必ず目覚めるだろうな」


「……そうですか」


 その言葉の後に、暫く顎に手を当てて考えていたラミュエールだが、三十秒後には暫し俯かせていた顔を挙げて――――


「すみませんティルファ様。少々私はアルフレッドに伝えることが出来ましので席を外しますね」


 ――――と、そそくさと部屋を出ていった。


「………あの」


 次に声をかけたのはアリスである。


「ぬ。どうした?ご主人様の番よ」


「つ、つがっ!?い、いえ!別に間違いではないんですけど、もうちょっとそれはオブラートに包んで欲しいんですが………」


「というより、なぜ知っている……」


 俺は別に、アリスが嫁だとはこいつの目の前では一言も言っていないのだが。


「私とご主人様の中には、魔力のラインが繋がっているのでな。その繋がりを辿って少々記憶を遡らせてもらった。所でご主人様の嫁よ。どうした?」


「い、いえ……その、大したことではないんですけど………あの、武器を見せて欲しいなぁって」


「あぁ、それには俺も同感だ。大罪武器からの説明も頼む」


「ふむ。承知した」


 と、大罪武器は腕を振るうと虚空から七つの武器が現れる。剣、槍、斧、銃、杖、弓、大剣の七つの武器は、その全容からとてつもなく強いという雰囲気が伝わる。


「まず、この大罪武器というのは魔神のあまりにも強大すぎる力を、七つに分けて封印したものだ。まぁその後に無様に取り戻されたわけなのだが……」


「別世界ですか」


「元々、魔神が別世界から来たって言われてるからな何も不思議ではないな」


 大罪武器が指をクイッと曲げると、真ん中にある剣がゆっくりと俺の目の前に現れる。持ってくれと目で促されたので、しっかりとその柄を握る。


「憤怒の剣サタン。別世界で、七つの大罪と言われた憤怒の力を司る剣だ」


「サタンね……」


 ブンっ!と軽く1回振って見るが、分かったことは専門外である俺には剣の善し悪しは全く分からないということである。


「おい。これ別にやっても問題ないよな?」


「む?まぁ大丈夫だ」


「ということで、ほい」


「え―――ひゃあ!」


 大罪武器からも許可を貰ったので、その剣をアリスへと投げる。


「ティルファさん!急に投げるのやめてくれませんか!?」


「それは悪いな。それと、それやるよ」


「……それはありがたくいただきますけど、謝罪が軽いです……」


 ぶー、と頬を膨らませて俺を少しだけ睨むアリス。ふむ、その顔もかわい―――こほん。


「憤怒の力。その能力は受けたダメージを倍にして返す、シンプルであるが非常に強力な力だ。上手く使いこなせよ」


「ダメージを倍にですか……」


 残り六つの武器の名前を紹介してもらった。『傲慢の弓ルシファー』、『怠惰の槍ベルフェゴール』、『色欲の銃アスモデウス』、『強欲の斧マモン』、『暴食の大剣ベルゼブブ』、『嫉妬の杖レヴィアタン』である。


 杖は文句無しにルーナに渡し、銃は大罪武器の勧めによりメリウスに。カレンは昔に槍術を習っていたらしいので、槍はカレンに渡す。俺は能力を一通り聞いて、大剣が一番能力がマッチしていたのでそれを貰い、後はこいつの制御下の元ということに決まった。


「そういえば、どうしてメリウスに銃を薦めたんだ?」


「ぬ。気づいていないのか?―――いや、この場合、同じすぎて気づかなかったと言うべきなのか……?」


 驚いたように俺を見たあとに、ブツブツとに何か言い始めた大罪武器。


「……ご主人様。私との手合わせの時に出したあの武器はなんだ?」


「神器だ。神アテナより賜ったかつて存在したロンギヌス十三の片割れの一つ」


「ふむ………して、ご主人様よ。そこのエルフにもおなじ力が眠っておるぞ」


「………ん?」


 この場にエルフは一人。俺、カレン、アリス、ルーナの視線がメリウスに向かった。


「………ふぇ?」


 アスモデウスをじっくりと見つめていたメリウスは、俺たちの視線に気づくと、一体何事?というような声を出した。





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更新が空いてすみませんでした……。いや、その、ここ二週間ずっと風邪を引いておりまして、先週は風邪でずっとダウンしていて、小説も一話を書く分しか体力がなくてですね……はい、申し訳ないです。


更新を待っていた方、ほんっとうにおまたせしました。今日からいつも通りやります!


風邪を引いていた時にずっと更新していた新作はこちら

『モンスターテイマーに憧れて~とりあえず全員魔物っ娘にする~』

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