第8話
「ティルファ!」
「ティルファさん!」
後ろから、アリスとルーナが俺の名前を呼ぶ。
「大丈夫だって、心配するな。俺は強いんだから」
二人に微笑んでからロンギヌスを大罪武器に向ける。
「良さそうだな、そっちには得物がいっぱいあって」
「なんだ?お望みなら私も杖だけで戦おうか」
「たわけ、逆に負けても言い訳すんじゃねぇぞ大罪武器………この戦いが終わる頃には、お前は俺のものだ」
あの大罪武器。手に入れられることが出来ればかなりの戦力になる。剣とか杖とかアリスやルーナに渡してもいいな。問題は魔神の武器だからゲットできるかどうかが心配だが……無理やり手に入れれば問題ない。
「では、ゆくぞ!」
「!」
大罪武器の初手はなんの捻りもない槍の一撃。俺は身体強化これでもかと言うくらいに自分にかけてその一撃を横にステップをしてから回避。すかさず二撃目に剣の横振りと、銃の連撃が来るので結界を展開して防ぎ、剣はそのまま結界を爆発させてから吹き飛ばす。
「ハァ!」
「!」
爆発によって出来た煙から大罪武器がその手で持っていた銀色の剣で斬りかかってくるが、杖で防御をしながらそのまま魔法を発動させる。
「いけ、
バチバチッ!と音を立て俺の横に合計50本の自動追尾する雷の槍が出来上がる。
「!これは!」
その異常性に気づいた大罪武器が慌てて離れようとするが無駄である。五十本の槍が一斉に大罪武器へ向かい、それぞれが意志を持つかのように特攻していく。
「……っ、小癪な!」
宙に浮いてる七つの武器を上手く使いながら
「
ジャラジャラ!と音を響かせながら天から、地から白色の鎖が飛び出し大罪武器の本体を拘束しようと数多の鎖が向かう。
「!これは!」
「逃げられるものなら逃げてみな。もっとも、今の俺の
ロンギヌスを持っていない状態だったら二秒程度しか拘束できないだろうけど、今は別だ。
「クソっ!」
ブンっ!と
「な、にっ―――!クッ!」
そしてその間に白色の鎖が腕に、足に巻き付き大罪武器の行動を完全に封じる。
「フンっ」
宙に浮いていた武器の方もガッチガチに拘束するように指示を出したが、大剣が逃れており、俺の首を狩り取ろうとしたが、杖に当ててそのまま遠くに投げ飛ばし鎖で拘束。
「チェックメイト、だな」
「くぅ……」
拘束を逃れようと手足を動かしているが、ジャラジャラと音が出るだけでなんの進展もない。
「……ふぅ、確かに私の負けのようだ」
「素直に負けを認めるのな」
「当たり前だ。見ての通り私は何も出来ん。タダの意識程度にここから勝つ方法は考えられない……私が欲しいのだろう。好きにしろ」
「そうか、じゃあ遠慮なくお前を頂くぜ大罪武器」
俺は力を抜いた大罪武器の頭を掴み、俺の中にある膨大な魔力を勢いよく流した。
「あっ……ぐっ……あああああ!!!」
「!これはこれは……」
この大罪武器の体を構成しているのは殆どが魔力によるもので、しかも魔神のものか……なるほどな。どうやってここから手なずけようと思ったが、意外と簡単そうで助かる。
つまり、その魔神よりも多い魔力で吹き飛ばし、俺色に染めればいいということなんだな。
「吹き飛べっっ!」
さらに強く魔力をドンドン流していく。流石の勢いにここ最近感じることがなかった『魔力が減る』という感覚を感じながらも、この大罪武器を支配している魔神の魔力を吹き飛ばし、代わりにそこへ俺の魔力を刻み込む。
「あああああああああ!!!……あっ………あう……」
意識が一度吹き飛び、気を失った大罪武器。
「……っ、酷い歓迎の仕方ではないか……?」
「知るか。文句を言うなら元主人にでも言うんだな」
胸元から、気絶から一瞬でも帰還した大罪武器の声が聞こえる。髪の色も魔神に染められた半分は黒からではなく、元の色の緑色に戻っていた。
「とりあえず、来れてお前は俺のものだな」
「あぁ、この身、この武器、全てはご主人様のものだ」
「……ご主人様?」
待って、なんか変な言葉が聞こえたぞ。
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