第12話
一回戦目は、えらくあっさりと決着が着いた。
「……あれ、俺が使ったやつじゃん」
試合が始まる前に真ん中に陣取ったと思ったら、昨日俺が使った
とりあえず、こっちに手を降っているから振り返してあげよう。
メリウスの次に試合をやるのはメアルだ。同じブロックにはディルクロッドの生徒で、四位通過の生徒がいたのだが、メアルの
「このまま順当に行けば、三人は決勝戦で会えるな」
「えぇ。でも、カレンは中々きつい所にいるわよ」
「そうなんだよなぁ」
決勝トーナメントに進んだ学園の割合がディルクロッドが10人。アイセーヌが4人。後は各学校から一人ずつだが、やはり何処も精鋭揃い。恐らく、魔法学校最強クラスが出張っているだろう。
カレンの初戦の相手はアレイシアの生徒だ。学校としての序列は五位だが、決して油断はできないだろう。
まぁ、それでもこのトーナメントの優勝はメリウスだろうな。それは絶対に違いない。
だって、お忘れかもしれんが神童には同じ神童でしかダメージは喰らわないその時点でもうハッキリメリウスの優勝は決まっているのである。
『優勝は!ディルクロッド魔法学校のメリウスさんです!』
「だろうな」
「だろうね」
「ですね」
俺達三人の声が重なる。本っ当に他の生徒には悪いとは思うが、神童出ない時点で既にメリウスの勝ちが決まっているのだ。
魔法は放ってもダメージは喰らわないし、初級の魔法でも上級並の威力はあるし、相手をしたら「やってられるか!?」と言いたくなるだろう。まぁ、ディルクロッドの生徒は神童であるメルジーナ様から逃げ切った猛者たちなので絶望するということは無かったが。
決勝戦はメリウス、メアル、マーシャさん、ディルクロッド二位通過のクロトという生徒の四名で決勝総当り戦をし、見事メリウスの全勝で幕を閉じる。
残念ながらカレンは二回戦で敗退。今回は相手が悪かったとしか言いようがなかった。
そして現在は閉会式が行われており、もうそろそろMVPが発表されるのだが――――
『今年のMVPは文句なし!ディルクロッドのメリウスさんです!』
「だろうな」
「だろうね」
「ですね」
出た種目全部一位通過だし、唯一の三勝だもんな。メリウスじゃなかったら一体誰だよとでも言いたくなる。
『MVP、おめでとうございます』
『ありがとうございます』
空中に浮かんでいる画面にメリウスの姿がアップで映る。これで、長いようでなんか短かった対抗試合も終わりか。
『メリウスさんには、MVP賞であるリゾート券クラス全員分が進呈されます。ズバリ、今いち早く伝えたい人はいますか?』
『はい。私を支えてくれた先生に、この気持ちを伝えたいです』
いやいや、別に今更お礼なんていいから。こうやってお前がMVPを取ってくれたことに俺は満足だよ。んで――――
「おふたりさん?どうして俺の腕を抱きしめてるの」
「気にしないでいいわよ」
「ですです。ティルファさんはメリウスちゃんの言葉に耳を傾けて下さい」
いや、こんな観衆の中で腕に抱きつかれたら気にしますけど?
『それでは、その先生に気持ちをどうぞこの場でお伝えください』
『………ティルファ先生』
名前を呼ばれたので空中の方ではなく、会場にいるメリウスの方と視線を合わせる。一体何て言われるのかすっごい気になるが、どうしてメリウスはあんなに頬を真っ赤にし――――
『え、MVP取ったので……わ、私をお嫁さんにしてください!』
お嫁さんにしてください―――してください―――ください――― さい――――
「…………ん?」
「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」」
…………あいつ!?何言っちゃってくれてんのぉぉぉぉぉ!?
「ふふ、計画通りね」
「はい。無事に言えて良かったです」
「……お前ら、グルだったのか」
「そもそもティルファ。あなたはメリウスに対して責任取らないと行けないでしょ」
「だって、ティルファさんメリウスちゃん故郷を出禁にさせたじゃないですか」
「うっ……」
いや、まぁ確かにさせたしこう生った以上面倒は見なきゃなとは思っていたが………え、面倒ってこれからずっと末永くよろしくお願いします的な意味なの?
「お嫁さん、四人目ね」
「ちなみに、私達もフィアン義姉様も了承済みですから」
「外堀完璧に埋められてんなぁ……」
なんだろう。なんかあと二人くらい増えそうな気がするのは気の所為だろうか。気の所為であって欲しいなぁ……
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