第11話

 またもや悪魔の登場により、その予兆を感じ取ったメルジーナ様が緊急で会議を開いた。


 呼び出されたのは俺や姉さん、アリスとルーナの他にも、前回はいなかったアンナと兄さん、それに無関係ではないメリウスと、一人にすると危ないという理由でカレンが集まっている。


「ごめんなさいね、もう夜なのに呼び出しちゃって」


「いえ、また悪魔が出たとの事なので、仕方ないでしょう」


 メガネをクイっとして俺たちの気持ちを代弁した兄さん。何人かが頷いた。


「ありがとうね、ルドルフ………さて、前回悪魔特有の波長を近くで受けたティルファやフィアンから気づいているかと思うけど、その悪魔は今、物凄いスピードでこのディルクロッドに向かってきているわ。狙いは恐らく――――」


「メリウス、ですね?」


 俺がそう言うと、メルジーナ様がこくんと頷く。まぁタイミングと、方角的にそれしかありえないのだが。


 隣にいるメリウスを見る。恐怖から体がガクガクと震えており、俺の服を握っている。それに関して、嫁ーズからなんか少し痛い視線を向けられているが、とりあえず一旦気にしない。


 気にしないったら気にしない。


 しかし、気になることと言ったら、悪魔の反応をメリウスがキャッチ出来ているということなんだよな。俺たちは一回、オーラだけ強烈な悪魔の波長を近くで感じているから反応できているのに、メリウスは初めてなのに感じ取っていた。


 ……まさかとは思うが、前回ラプラスの悪魔がこの街にやってきた時、結界で守られた学園の中にいたにも関わらず、あの悪魔の波長を感じ取った。そういうことなのだろうか。


 そうなったら、もしや感受性が高いというのだけでは収まりきれない。一種の才能である。


 まぁ別に、わざわざ怖い思いを思い出させたくないので、その事を聞くことはしないが。


「そして、先程メリウスを付け狙ってるやつのバックにいるやつが分かりました。そいつの名前はガレオンです」


「ガレオン……」


 その名前を聞いて、メリウスが嫌な顔をした。


 アルラウネの偽香グッドスメルで、襲撃者の意識レベル、何でもかんでも話してしまうような状態に一気に落とし込み、引き出した。


 ガレオンは、部下に関してなら非常に仲間思いで、慕われてもいたが、野心が強く、フォレストキシニョフの王の座を狙っているらしい。


 フォレストキシニョフの、王の選定は国民からの投票だけではなく、どれほどの魔力を有しているかによって、王が決まる。なぜなら、王はキシニョフ周りに張ってある結界を維持しなければならないから。


 メリウスが産まれるまで、ガレオンが王候補だったのだが、メリウス神童が産まれてしまった。だから、ガレオンはメリウスを魔法が使えない無能姫という印象を付けさせるために、メリウスの体の中に粉末状にした例の鉱石を紛れ込ませていたらしい。


 そして、ここからが一番やべー事なのだが、なんとガレオンは王になったら帝国の方に戦争を仕掛けるつもりらしい。


 帝国とキシニョフの間には、測るのもバカバカしくなるくらいの深い溝が産まれており、ガレオンが報復のために帝国に戦争を仕掛けると、世界中が戦争に巻き込まれてしまう。


 今では、不可侵条約を結び、戦争はしないようにしようと決めている国が殆どなのだが、帝国はそれを無視し好き勝手に戦争をやっている。


 もし、キシニョフとの戦争が始まれば、その物資や、兵数を集めるために様々な国に喧嘩を吹っ掛け、傘下に収めようとするだろう。今の皇帝は、そんな戦争狂だ。


 もし、ディルクロッドまで攻め込んでくると考えたら、負けはしないと思うがめんどくさい。まぁ、こちらには氷の女帝と恐れられるメルジーナ様がいるからな。皇帝も、わざわざ世界最強を相手にしようとするほど、馬鹿じゃないだろ。


「やっぱ知ってたか?」


「もちろんです……あの男には、嫌な思い出しかありませんから」


 と、めちゃくちゃ嫌そうな顔をするので、この話題はやめておく。メルジーナ様に目を向けると、意図が伝わったようで、こくりとうなずいてくれた。


「相手がどんな悪魔か分からない以上、悪魔迎撃には最高戦力を投入します。マリナ、ティルファ、フィアン、ルーナ、アリス。この五人で悪魔の足止めを、そして封印をよろしくお願いします」


「分かりました」


「頑張ろうね、ルーナちゃん!」


「そうね、もう足でまといにはならないわ」


 と、気合を入れる二人。俺も頷いておく。


「カレンとメリウスは私が守ってあげるわ。いざと言う時、必要でしょ?」


「は、はい!よろしくおねがいしまっ―――っぅ!」


 メルジーナ様の顔を見てから、今まで緊張で全然喋っていなかったカレン。舌を噛んで痛そうにしている。


「ルドルフはあの悪魔の分析をお願いできるかしら?あなたの知識が必要よ」


「お任せを」


「それでは以上よ。各自、準備を各々進めるように」


「あの……私は?」


 おずおずと、役目を与えられなかったアンナが手を上げる。


「あなた、神童だけれど回復魔法しか取り柄ないでしょ?だから毎回あなたに出す役目は、最初から変わらないわ」


「その通りですけど酷いですよ!メルジーナ様!」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 すいません、昨日は時間の都合上で『かーっ!卑しか女杯!』を開催出来ませんでした。


 そして君達。ルームマッチの事で忘れていたが――――それでは開催しようか。



 ガ チ ャ 報 告 会のお時間です!


 ヒシアマ姐さんのガチャは引いたかな?作者は一度も引いてません!


 さぁさぁよってらっしゃいみてらっしゃい!皆の幸運と不幸を覗きみようではないか!

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