第4話

「珍しいね、ティルファが書庫に入り浸るなんて」


「まぁ、ちょっと気になることがあって」


 その日の夜。俺はディルソフ家が誇る書庫に入り浸っていた。メリウス達の守りは姉さんたちに任せて、俺は今日のメリウスの鉱石反応を調べるために、本を漁っていたら、兄さんがここにやってきて、驚きの目を向けていた。


「何を見ているんだい?」


「鉱石全書」


 鉱石全書とは、この世界にある鉱石の名前やら、どこで取れるか、どんな用途に使用できるかなどが載っている図鑑だ。


 メリウスの体の中から出てきた鉱石の反応。流石に名前までは分からないが、解析アナライズで性質とどんな形でメリウスの中に埋まっているかも確認できた。


 それを鉱石全書で確認出来れば、一気にこの問題は解決するのだが、如何せん分厚い。何と4000ページ以上もあって、今やっと300ページにたどり着いたくらいである。


「一体、何を探してるんだい?」


「魔力を集める性質を持っている鉱石を探しているんだけど、兄さんは知ってる?」


「うーん………?」


 メリウスの体に埋まっている鉱石は、魔力を集め、溜め込むという性質を持っている。しかし、空気中にある魔力は、自身が魔力を使わないと取り込めない。


 この鉱石が、魔力を集めて溜め込む。しかし、溜め込む前にメリウスの体を介して溜め込まないといけないので、空気中の魔力を取り込めない。だから、魔法が勝手に暴発して魔力を無理やり空気中から吸収しているのではないか?というのが俺の今の所の仮定。


「魔力を集める……少なくとも、僕は聞いたことがない」


「……嘘だろ」


 兄さんは、知識だったら俺達よりも頭十個くらい飛び出ていると言っても過言ではない。俺や姉さんもそこそこは知っている方だとは思うが、痒いところに手が届くくらいの知識を兄さんは持っているのだ。


 その兄さんが聞いたことない、ははっきり言ってもうお手上げ状態である。


「魔力を集めて溜め込む……魔力を溜め込むだけなら魔力石があるけど、あれに集める性質はない」


「そう、だね。しかも、あれは使用者が魔力を注がないといけないからね」


「そう……だね。しかも、僕が知らないとなると……もしかしたら、新種の鉱石かもしれないね」


「新種かぁ………でも、おかしくないか?」


「うん、確かにおかしい」


 今どき、何か新種を見つけたら、一生遊べるくらいの財産が手に入る。しかも、それが鉱石となったら、技術が進む可能性をも秘めているため、更に莫大な財産が手に入る。


 それを、態々秘匿する必要性である。この性質の鉱石なんかあったら、一気に国の戦争の幅が広がるからな。


 もしかしたら、これを世に出せば不味いことになる!とか思っている可能性も無きにしも非ずだが、十中八九ない。だって、絶対これ仕掛けたのレオ様ってやつじゃん………。


「とりあえず、僕の方でも色々と探ってみるよ」


「ありがとう、兄さんがいれば千人力だよ」


「弟に力を貸すのは、当然のことだろう?」


 と、兄さんは俺の頭を撫でた。


「それじゃあまず、メリウスちゃんの体から、どうやうやってその鉱石を取り出すかを考えてみよう」


「あ、それはもう既に考えてあって――――」


「――――なるほどなるほど?」


 こうして、俺と兄さんの話し合いは日付が変わる時間帯ギリギリまで行われた。


 そして、上手く行けば、今日が作戦決行の日だったが、メリウスの体に埋まっている鉱石を抜くために、少し大事を取って明後日に伸ばした。


 メリウスとカレンに、今のメリウスの状態を教え、この鉱石を取り除けばもう魔法の暴発に悩まされなくて住むかもしれないということを教えた。


「……本当、ですか?」


「原因がそれだけとは限らないけど、間違いなく、もう暴走するということは無くなるだろう」


 もしかすると、その魔法の暴発は神童としての無意識の本能が、何か異物があるとの訴えだったのかもしれない。


「それで、どうする?メリウスが望むのなら、今すぐにでも鉱石を摘出してやるけど」


「………よろしく、お願いします!先生!」


「分かった、じゃあ椅子に座って楽な体勢になってくれ。カレンは、俺の助手をしてくれ」


「分かりました!」



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今日からジェミニ杯でございますね!私はライス、マックイーン、タイシンの三人で挑みたいと思ってます!なかなかいい個体が出来たので。


そして、またまた新作を昨日出しました。こんなに新作出して大丈夫か?とか思うかもしれませんが、全然大丈夫じゃないです。でも、出さないといけないんです。


読者の皆さん、作者を助けると思ってどうか新作の方も読んでください。

『俺達が『家族』になった次の日、義妹が厨二病に進化していた』

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