第3話
「ど、どうしてお絵描き……」
「おいおい、あんまりお絵描き馬鹿にすんなよ?」
「え……それで威圧を出されても困るんですけど……」
余りにもお絵描きを馬鹿にするような発言に、ついうっかり威圧が出てしまい、カレンにジト目で見られてしまう。
しかし、本当にお絵描きが一番重要なんだが……ま、やれば分かるか。
俺は、事前に準備していた紙を二人に渡す。
「そうだな……とりあえず、炎の絵を描いて見てくれ」
「むっ、先生。それはいくらなんでもバカにしすぎじゃないですか?」
「炎の絵なんて、簡単に………」
と、二人はペンを進めていく。最初は二人とも「ふふーん」みたいなドヤ顔から、ドンドンドンドン「あれぇ……?」みたいな顔になっていく。
「…………クッ」
二人の背後に回り込み、書いているものを見た瞬間、思わず笑いが零れてしまった。
「あー!先生笑ったー!」
「いや……無理無理、これは……フフッ……」
笑ったことでカレンに非難の目を向けられるが、これは我慢できるものじゃない。
だって……なんかすっごいぐちゃぐちゃで、訳わかんないくらいに線があちこち書かれてて、もはや火の原型が一つも残ってない。
「そ、そこまで笑うなら、先生が書いてみてください!」
と、メリウスが少しぷりぷりと怒りながら紙を差し出してきた(裏面)ので、カレンからペンを借りてサッサッサと書いていく。
二分後。
「う、嘘……これが絵?」
「見てるだけでもなんか熱いです……」
カレンとメリウスは俺が書いた絵を食い入るように見ていた。まぁこれが先生の実力ってもんよ。
「とまぁ、俺のと二人の絵を見て分かるが、この絵の上手さの差が、魔法の威力の差である言ってもいい」
上手く書けないのは、頭の中でまだ明確な『炎』という存在をイメージ出来ていないから。魔力は、頭の中のイメージを読み取り、明確であればあるほど、形を変化させるために使う魔力が少なくなり、威力を上げれる方に魔力を割けるのだ。
「まずは、下手でもいいから『炎』と分かるような絵を描く。魔法を発動させて、その炎を見ながら描くのを最初はオススメする」
俺たちディルソフ三兄妹も最初はそうだった。この手の分野に関しては、兄さんが得意だったようで、俺と姉さんが頬を膨らませていた思い出がある。懐かしいな。
「あ、メリウスはそれと同時に魔法を制御するための訓練もするぞ。最悪、お絵描きは後回しでいい」
「え!?」
今は、俺がメリウスの周りに勝手に集まる魔力を吸収しているため、魔法が暴発しないが、それだけではダメだ。
しかし……やっぱり個人にこんなに魔力が集まるのはおかしい。異常と言ってもいいな。
そもそも、神童は魔法に愛された存在で、普通ならこんなことはありえないと言ってもいいんだが………まさか、他に要因でもあるのか……?
………まぁいい。今はそのことを考えるのは後にしておこう。とりあえず、メリウスが魔法を制御できるように目を光らせて置く方が――――
バチッ
「っ!」
「メリウス!」
「メリウスちゃん!」
魔法を制御しながら絵を書いていたメリウスだったが、制御を誤り暴発を起こしてしまう。
俺は急いでメリウスの頭に触れて周りに集まる魔力を吸収。カレンはメリウスの手を握る。
「大丈夫か?」
「はい……すみません……」
「いや、これは俺のミスだ。メリウスはまず、魔法の制御を何とかした方がいい」
最悪、メリウスはイメージなんてしなくてもそこそこ威力の魔法が撃てるから何も問題は無い。しかもメリウスはエルフなのだから、時間はまだまだ沢山ある。
だけど………やっぱりこれは異常じゃないか?
「メリウス、ごめんな」
「せ、先生?……んっ」
俺は、メリウスに向けて
もはや、このメリウスの異常性は体質だけでは説明がつかない。何かの病気とかだったら、この魔法に何らかの反応があるは――――は?
「なんで……?」
「先生?」
俺がポツリと漏らした声にカレンが反応する。
なんで、メリウスの体の中から鉱石の反応があるんだ……?
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昨日の99人の壁でウマ娘が出てきて分かりやすくテンションが上がった作者です。
今日はなんと、今から国家試験があります。凄いめんどくさいです。読者の皆さん、私を応援してください。
ダルっ(ボソッ)
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