第3話

「まぁ確かに、アンナは回復魔法は一級品だけど、その他は普通だよな」


「ティルファ!?」


 まさかの俺の追撃に、アンナが声を荒らげる。や、だってそれがお前ん家の特色じゃん。仕方ないじゃん?


「うー……そ、それじゃ!ティルファ先生の時間がある時に、個人的に教えてもらうってのはいいですか?」


「んー?」


 別に俺個人としてならそれでもいいと思うが、学園側の意向がどうか分からないから、ここで安易に首を縦に振る訳には行かないので、アンナに目線を向ける。


 俺の聞きたいことがキチンと伝わったかのように、こくりと頷く。


「別に大丈夫だよ。学園としては向上心のある生徒には成長してもらいたいし、成長したい生徒は、個人的にも先生に教えて貰ってる人もいるしね」


「と、いうことだ。カレンが暇になった時に特例クラスの方にこい」


 だって、俺は昼休み以外はメリウスに付きっきりだろうしな。まだ魔法の制御も出来ていないんだから。


「は、はい!ありがとうございます!ティルファ先生!」


 と、カレンはぺこりと頭を下げた。


「それじゃあ早速!今からいいですか!」


「……………ん?」










「うーっす、メリウス来たぞ―――――」


「みゃっ!?」


 ドアを開けた瞬間、何やら可愛らしい声が聞こえるのと同時に、昨日と同じように俺に向かって魔法が飛んできた。


「きゃ!?」


 そして、突然のことに驚いたカレンが咄嗟に俺の服を掴んで後ろに隠れた。


「フンっ」


 ペチン。


 飛んできた火の玉だったが、昨日よりかは威力が無かったため、素手でたたき落とすことが出来た。昨日よりも本当に多少だが、魔力コントロールが出来るようになった成果だろう。


「す、すいません先生!その……いきなりでびっくりしちゃいまして………」


「いや、気にしないでいい。あの程度だったら、そこら辺に飛んでる虫を叩き落とすのと一緒だ」


「そ、それはそれでちょっとショックなんですけど………」


 いやいやいや、魔法の暴走で発動したのとか、見掛けだけだからね?


「それで先生、後ろに人は……?」


 そして、メリウスが俺の後ろにいるカレンに気が付き、首を傾げる。


「あぁ、今日からメリウスと一緒に俺の指導を受けるカレンだ。仲良くしてやってくれ」


 と、言うが、当の本人からの自己紹介は無し。


「カレン?」


 振り返ると、俺の服を掴みながら固まっていた。俺が声をかけるとハッ!と意識を取り戻して、慌てて自己紹介をしだした。


「わっ………え、えっと……カレン・メイルワーズです……その、よろしくね?」


「は、はい。メリウス・レッドモンドと言います、よろしくお願いします……」


 お互いにぺこりと挨拶をする。


 カレンは、特例クラスとなった訳では無いのだが、特例クラスに行くほどに、他者とは卓越した技術、もしくは才能は持っていないが、明らかに一般生徒とはレベルが違うと認められている生徒は、授業に出ないでよくて、各々の分野の才能を自分で伸ばすという、所謂『特待生制度』というものがある。


 月に一度のレポートは担任の先生に提出する義務があるが、それ以外は学園に来るも来ないも自由。授業に出るか出ないかも自由なので、自分が伸ばしたいと思う分野を自分で伸ばしていけるメリットがある。


 その中でも、カレンは向上心がとても強く、凄い魔法使いになるために、暇な先生を見つけては指導を貰うという姿勢を見せており、他教師からの評判もいい。


 まぁ、裏を返せばそれだけ焦っているということになるのだが。


 カレン・メイルワーズ。メイルワーズというのは確か、他国のそれなりの地位にいる貴族だったはずだ。なんだろうなぁ……これくらいの歳だったら、お見合いとか婚約とかが嫌で、この学園に逃げ込んできたとか普通にある――――というか、実際にいた。


 ま、あんまり余計な詮索はやめておこうか。生徒の問題にあまり教師が口を突っ込むのもよくな――――


「っ!?」


「え……?」


「キャッ!?」


 俺は、目の前にいるメリウスを捕まえ、カレンと同じように後ろに置いた瞬間、窓ガラスが割れる音がする。それと同時に、俺は結界を全方位に貼ると、前、それからで何かが結界に当たった音が聞こえる。


「な、何!?」


「落ち着けカレン」


 突然の事態に慌てるカレンの頭に手を置き、数秒待つ。十秒、二十秒と経ち何も起きないが、俺はそれでも結界を解くのを辞めない。


 ちらり、と音を立てたブツを見る。地面にころりと落ちていたものは、銀色で、先端にいけばどんどん尖っているものだった。


「銃弾………しかも魔法銃か」


 となれば、銃弾が飛んできた方向に狙撃者がいると言ってもいい。


「いけ、天翔る雷のやりブリューナク


 バチバチっ!と俺の手に大きさが大体五センチ程の雷の槍が出てくる。これは、天翔る雷の槍ブリューナクの殺傷性は皆無の魔法で、相手をしびれさせることの出来るように改良したものである。


 それを二つ発動させ、前と後ろにそれぞれ放った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨日の日本ダービー………凄かったですねぇ……。エフフォーリアが二冠を達成して、無敗でのクラシック三冠を達成する瞬間を見たかったですが、流石今まででまだ三頭しか達成してないほどの激ムズ難易度ですわ………。おめでとう、シャフリヤール。俺は君の末脚に惚れた。これから応援させてもらう。


次は安田記念だっけ?グランアレグリアがまた俺は勝つと予想している。だって、あれマイル距離だったらめちゃんこ強いじゃん。この前のNHKマイルカップとか、なんなんあれ。


あ、ガチャ報告もどぞ。まだ作者は回してません

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