第11話

 ふと、意識が覚醒するのと同時に、体に乗っかっている重さに、どこか息苦しさも感じながらも、心地良さを感じる。


 ゆっくりと目を覚ますと、俺の上に乗っかりながら俺の顔をまじまじと見ている姉さんの姿があった。


「起きた?」


「あぁ……うん」


 どうして姉さんがここにいるのだろうかと思いながらも、目線を下に向けた全てを察した―――というか、俺と裸だった。


 そうだった。寝起きで一瞬忘れていたけど……あれだったな。いわゆる大人の階段をまたひとつ、登ったんだな。


「ふふ、昨日は激しかったね」


「やめい」


 頬をつんつんと突っつきながらにこにこと笑う姉さんの顔を見て、顔に熱がたまる。なんか、昨日のことはあんまり記憶にないけど、そこそこ恥ずかしいようなことを言った気がする……っ!


 一応、声は漏れないように防音結界を貼ったから声は聞こえていないはずである。まさか、勇者のギシギシアンアンの音を聞きたくないがために開発したこの魔法が、まさか別の用途で使われるとはな……なんかごめん。


 いつか、もっと有用な使い方してやるから!


 ひとしきり、ベッドの上でもイチャついた後、イチャついた後、そろそろ朝ご飯を食べる時間帯なので、せっせと服を着替えてから部屋を出る。その際に、姉さんが嬉しそうに俺の腕に抱きつくと、そのまますりすりと頬を俺に擦り付ける。


 あれ、姉さんってこんな可愛い――――いや、もともと超絶可愛かったけど、こんな如何にもな可愛い態度なんか取ってたっけ?


 まぁ、別に俺としては得をするばかりだからいいけど、というかもっとやってくださいお願いします。


「あら、おはようティルファ」


「おはようございます、ティルファさん」


 廊下を歩いていると、ルーナとアリスと合流。おはよう、と声をかけようとした瞬間、二人の動きが不自然に止まった。


 そしてそのままグルン!と後ろを振り返ると、何やら話し始めた。


「………どうしたのかな?」


「さぁ……」


 姉さんがそう聞いてきたが、心当たりなどは全くない。


 そのままの状態で、二人の内緒話が終わるのを待つ。別に、魔法を使って二人の会話を聞いてもいいのだが、そんな野暮なことはしない。


 しかし、ふと隣から魔力反応が出たので、姉さんを見ると、魔法を発動していた。姉さん………。


 神童だからこそできる、他人には気づかれないように最低限の魔力で魔法を発動するという技術。姉さんはきっと盗聴する気満々なんだろう。


 そんなことを思いながら、姉さんをジト目で見ていると、ふんふんと真面目に聞いていた姉さんの顔が五秒後には真っ赤になった。


 え、なんで?


「ティルファ!」


「ティルファさん!」


「お、おう……なんだ?」


 そして、話し合いが終わったのかずいずいっ!と突っ込んできた二人、姉さんは何を聞いたのかは知らないが、恥ずかしさで顔を俺の肩に押し付けて隠している。


 一体、どんなことを聞かれるん―――――


「なんで勝手に童貞卒業してんのよ!」


「どうして勝手に童貞卒業してるんですか!」


 ………………………………。


「ええええええ!!!!!」


 なんで!?どうしてバレてるの!?防音対策はバッチリとしてたのに!


 俺がそう叫んだことで、全てが真実なんだと覚悟した二人。


「や、やっぱり……っ!昨日義姉さんの姿が見えないと思ったのよ……っ!」


「それに、ティルファさんとお義姉様の距離も近かったですし、何よりもティルファさんの雰囲気が昨日と全然大違いです!」


「嘘っ!?」


 男は良く、経験すると一皮剥けるとか何とかをよく聞く。俺は眉唾ものだと右から左に受け流していたのだが………嘘じゃなかったのか。


 てか、姉さんが恥ずかしがって理由ってそれか……。自分達の事情……じゃなくて、情事を他人に把握されるのって確かに恥ずかしいな……うん。


「ティルファ!今夜は私よ!私だからね!」


「ずるいです!私とですから!」


「こんな朝っぱらから廊下で話すことじゃなぁぁぁぁい!」


 お願いだから!今は周りに運良く使用人が居ないからよかったけど、メイドとかいたらマジモンの公開処刑だから!





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三万でいいのか?というコメントを見て戦慄しました。


最近、知ってる人は知ってるし、なんなら見たことある人もいると思うんですけど、作者はマンハッタンカフェの二次創作をハーメルンで書いてるんですよね、えぇ。マンハッタンカフェが好きすぎて実装まで我慢できなくてやらかしちゃったんですけど。


いやー、ウマ娘二次で実況上手く書ける人まじ尊敬する。才能分けて欲しい。


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『血濡れのウィード

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