第7話

 さてさて、勇者の原罪探知も役に立たないと分かったところで、俺は魔法を発動させる。


 お忘れかもしれんが、俺は一度、ジャパニカで襲われた時に、襲撃者の魔力を覚えてそこに転移したことを。


 昨日戦った時に、あの小物と悪魔の魔力は覚えた。俺にかかれば奴らの居場所は―――――


「ぬ?」


 ……むむむ。これは少し俺でも予想外だったな。この街全体をラプラスの濃密魔力で埋め尽くされていて少しだけ特定しずらい状況だ。


 いや、だが………うん、大丈夫。この位だったら少しずつ範囲を狭めていけばいけるな。


 ウルゴスの方は……全くこの街では感じないな。ラプラスの魔力に隠れているか、それともこの街には居ないか………。


「よし、とりあえず奴らの居場所にはだいたい目星はつけてから向かうぞ」


「本当?」


「あぁ、少し時間はかかるが問題なく見つかるだろう」


「デタラメじゃねぇだろうな」


「お前と一緒にすんなタコ」


 そんな大体の場所しか分からない原罪探知なんかと一緒にするんじゃねぇ!もっと精度上げてから出直してきなぁ!


「……ほう、この俺に向かってまだそんな言葉を吐けるか……ウルゴスの前に貴様から倒してやろうか?役立たず」


「へぇ?あの時俺に手も足も出ないで地に伏せられたことをもうお忘れかい?ドクズ勇者が……… 脳みそまで弱くなったか?」


 先程、メルジーナ様の家の前で起こったことともう一度同じような状況になる。


「ちょちょちょ!ティルファ!今は争っている暇ないから!」


「そうです!あんなやつ構っている暇なんてないんですから!」


 と、俺はアリスとルーナに体に抱きつかれて止められ、勇者は勇者でレジーナに頭を掴まれて無理やり胸に押し込まれていた。


 なんかあいつがあんなに大人しいと色々とこっちの気分が辺になるな。


「………ふぅ、おいドクズ。1つ考えが思いついたんだが」


「奇遇だな役立たず。俺も同じことを考えていた」


 レジーナの胸に顔を埋めていたあいつが顔をグルンとこちらに向け目が合う。


「「悪魔見つけるまで、別行動な」」


 こいつといても、またこんなふうに言い争うだけで調査は全くもって進まない。そんな未来が見えた。


 こいつも一応クズだけど、勇者だから平和を守るという目的はキチンとある。だから、こんな所で言い争っている暇はないと考えたんだろう。


 言い争いの種はほとんど向こうから投げてきてるんだけどな。


「………行こう、アリス、ルーナ」


 ひとしきり睨み合った後に、クルッと俺は踵を返した。


 後方から響く足音二つを耳に入れながら、魔法を発動して、ラプラスの濃い魔力を探していく。


「……本当にいいの?別れて」


 と、ルーナが俺の裾を弱々しくキュッと握った。相手が悪魔だからルーナが不安になる気持ちも分かる。あいつはクズだけど実力は確かだもんな。


 だから、俺はルーナの頭をフード越しに撫でる。


「安心しろ。確かにあいつが入ればあの悪魔なんて楽勝だろうが、あいつが至って何も変わらない。だって、結局勝つのは俺なんだからな」


 結局のところ、勇者が応援で駆けつけたとしても、100パーセントの勝利を達成するのに楽に勝てるようになるだけ。だからべつに、あんなやついてもいなくても変わらないのである。


「私は、ティルファさんを信じてます………この騒動が終わったら、結婚しましょうね」


「おう、そうだな…………うん?ちょっと待って、今なんて言ったの?」


 結婚?今なんでその話?


 いや、俺も婚約指輪は渡している事だし、いつその話題を出そうかなぁとは思ってたけど、今?このタイミングで?


 あとアリスさん?それって死亡フラグって言うらしいよ。なんか大事な戦いの時にそんなこと言うと死ぬやつが多いんだぁ~って姉さんが昔にほわんほわんしながら言ってたよ?


「この街に帰ってきたとに、お姉様とそんなお話はしていたので、何時がいい?とお姉様が聞いてきたので、この騒動が終わったらと答えました!」


 と、胸あたりで両手を持ち上げてグッ!と握りこんだアリス。うん、とりあえず帰ってきてそうそうなんの話してんねんと突っ込んでおこう。


「とりあえず、結婚云々は今はあとにしよう。今はラプラス騒動の方が大事だ」


 一旦、アリスのセリフは脳の片隅に置いておいて、ラプラスの魔力を辿る。ディルクロッドの街を右に行ったり、左に行ったり、時には少し戻ったりしながらも、俺は無事に奴の所にたどり着いた。


 たどり着いたところは、ごくごく普通の一軒家。しかし、よく見ればこの家だけ防御結界が貼られていないことに気づいた。


 とてつもなくいや予感がする。


「アリス、ルーナ」


「えぇ、分かっているわ」


「大丈夫です。準備できてます」


 二人がそれぞれの得物を構えたのを横目で見た俺は、勢いよく家のドアを開けた。


「うっ……!」


 入ってすぐ、臭ってきたのは腐乱臭。急いで鼻を抑えながらも、匂いを遮断する結界を発動して玄関口から家の中を伺ってみる。


「………これは」


「酷い……」


 リビングには、この家に住んでいたであろう夫婦の死体が無造作に転がっていた。




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 ほっほっーい。ついに我慢しきれなくなってウマ娘の長編二次創作を世に出してしまったZE☆。名前は違うけど、分かる人には分かるかもしれない……。


 そして昨日の皐月賞!私、ディープモンスターに期待してたんですけど、外れましたね。馬券は買ってなかったんでただの予想となってしまった。


 そして、ようやくテイオーで全戦全勝Aランクを取る事が出来ました。因子は弱かったですけど。


 新作の方も投稿してますんで、宜しければ!


『我、馬なりて』


 お前絶対ウマ娘の影響受けてるだろっていうツッコミはなしね。ちゃんと異世界の擬人化した美少女馬じゃなくて、まじもんの馬だから。

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