第8話

「酷いな」


 両手を合わせ、死者に対して黙祷と、必ず犯人を捕まえてシバキ回すんでということを思いながら、死体を観察する。


 どんな惨い殺され方をしたのか、男の人の方は顔が原型を留めていないほどボロボロにされており、女の人の方は、体もボロボロにされており、ところどころ体に白い液体がかかっていた。


 つまり、そういうことなんだろう。


「下衆が………っ!」


 あのウルゴス、文字通り夫を殺した後に愉しんだんだろうな………ゴミ具合で言うと、あの勇者よりもよっぽどのクズさである。


 とりあえず、あいつは絶対に殺す。牢に入れるなんて真似はしねぇ。絶対に。


 俺は立ち上がると魔法を使って二人の体を綺麗にする。失った命は元には戻らないが回復魔法を使ったできるだけ二人を綺麗な体にする。


 せめて、あの世では二人に一緒に入れますように。


「……………」


 パンっ!と手を叩くと、二人の体から青い炎が舞い上がる。


 この世界では、死者を神性のある炎で燃やし、その炎でできた煙とともに死者を神々の住むあの世へ送り届けるという習慣がある。


 蒼は、かつての昔、魔法を広めた神が好んでいたという記録もあり、青い炎には神がやどるといわれ、神様直々に天国へ連れていってくれるとか。


 炎は一瞬で死体を覆い尽くすと、次の瞬間には骨一つ残らず蒸発した。


「……絶対に捕まえないとダメね。絶望させて絶望させて、その上で殺さないと」


「そうですね。そうしないと、これまでこの悪魔たちに殺されてしまった善良な人達が浮かばれません」


 二人がポツリと呟いた言葉に俺は頷く。


「そうだな。あいつはシバいて、この世に産まれたことを後悔させないとな。その為にも―――まだまだ1番厄介そうなことを調べないとな」


 まだここはリビングだ。この家は二階建てなのでまだ上が残っているし、その上部分からプンプンと嫌な魔力が漂ってやがる。


「……行くぞ」


「はい」


「えぇ」


 二人の返事を聞いて、俺たちは2階へと上がる。階段一歩を踏み込んだ瞬間、この家を覆っていたラプラスの魔力が消えた。


「………チッ、逃げたか」


「そのようね。流石に私でも気づいたわ」


 この変化にはルーナも気づいたようで、悔しそうに顔を歪める。ラプラスは未来を見通すというのだから、俺たちがここに来て倒される未来を見たから咄嗟に逃げたのかも知れない。


 本当に厄介だ。結界で逃げないように封じ込めたいが、悪魔は魔界を通って移動できるから本当に厄介だ。流石に次元までには干渉出来ないからその点だけはあっちが上か………。


 だがしかし、だからといって手がかりが残っているのを放棄して追いかける訳には行かない。どうせ、奴らは復讐のために俺らを襲うようなバカだ。ほっといても向こうからやってくる。


 待ちっていうのはものすごく気に食わんが。


 二階へとあがり、ガチャリと嫌な気配が漂っている部屋を開ける。


「っ、これは!」


「うわっ……悪趣味……」


「あれと同じ……っ」


 部屋を開けた瞬間、まず飛び込んできたのは天井近くまで積み上げられた大量の死体。そして周りを見ると全て血で彩られた真っ赤な壁。


 そして、積み上げられた死体の下から見えるのは紫色の輝く魔法陣が。


「……同じだな」


 世界情報誌に載っていた光景と全く同じ。


「……うっ」


 流石に、この光景を見たら吐き気を催したのか、アリスが慌てて口を抑えたので、俺はアリスの肩を抱くと、精神安定の魔法を掛けると同時に、回復魔法も掛ける。


「ルーナ、俺はこれを調べるから、アリスを頼む」


「えぇ、分かったわ。アリス、歩けるかしら?」


「はい……すみません、ルーナちゃん」


「いいのよ……さ、外に出ましょう。そうすれば気分は少し良くなるはずよ」


 と、二人が部屋から出るのを見送り、俺はもう一度この死体の山と向き直る。


「………ふーん」


 触ってこの死体を動かしたいが、結界が魔法陣から出ているので触ることが出来ない。こっち系統の結界なら、俺は触れるだけで壊せるんだが、流石に邪神あっち系統は無理だ。まず根本から違うからな。


 だが、『魔法』という言葉で片付けられている以上、俺に不可能はない。


 魔力から作られている以上、俺に死角は存在しない。


 俺はしゃがみ込むと、魔法陣に触れる。結界が貼られているので、直に触れることは出来ないが、これだけ近づければ十分。


 俺は魔法を発動させ、自身の魔力を魔法陣をなぞるように散布させる。


 解析アナライズ。自身の分身である魔力を流し込んで、その魔力から情報を解析するというものである。


 ………なるほどな。


 時間にして数秒程で解析は終わった。この魔法陣の本当の目的は、この積み上げれた死体を供物として捧げ、悪魔に力を流して、悪魔の力を強化することが本当の目的で、この結界は力を流す工程で邪魔が入らないように、崩れないようにしているものだ。


 そして、結界と魔法陣は別物で、この結界は悪魔自身が貼っているので壊せないときた。


 そうなったら、まぁ魔法陣を壊すよな。


 俺が拳を握ると、パリッ!と魔法陣にヒビが入った音がすると同時に、不気味に光っていた魔法陣は光るのをやめた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その日、人類は思い出した。『お兄様』と呼ばれたいライスシャワーこそ至福組と、『お兄ちゃん』と呼ばれたいカレンチャンマジ天使組に。


ごめんなさい巫山戯ました。最近ここに書くネタが無さすぎて苦し紛れにやってます。


でも、私思ったんです。どうせここでウマ娘関連書かなくても、きっとコメント欄はウマ娘報告会になるんだろうなぁって。

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