第5話

 ウルゴス一味襲撃から一日が経った。ディルクロッドでは、メルジーナ様が事態の深刻さを悟り、街(既に国だが街の方がしっくりくる)一帯に避難勧告命令が出た。


 住民の外出禁止や、結界装置の常時発動命令、学園の一時的な休みなど、その他もろもろだ。


 そして、今日はあの悪魔をどのように対処するかというので話し合うために、実力のある人物を一同に集めてメルジーナ邸にて会議が行われることになった。


 出席するのは魔法三家代表から当主が、学園長ということで姉さん、マリナ様も出席し、意外とあのクズも参加することになっている。


 そんで、俺もメルジーナ様から『神童枠』で呼ばれているので、アリスとルーナを護衛に付けて(メルジーナ様に連れてこいと言われたから断れない)からやってきた。


 そもそも神童枠って何?という話だし、アリスとルーナには絶対にメルジーナ様に合わせたくなかったんだけどなぁ……命令なら仕方ないし、断れない。


「「………………」」


 そして二人は、メルジーナ様の家を見上げてから言葉を失っている。


「………でか」


「大きすぎじゃないですか……?」


 上は五階まであり、横は首を90度横にしないと橋まで見えないくらいの長さがある。何故こんなにもでっかいのかと言うと、メルジーナ様の性格のせいである。


 前にも、メルジーナ様は両刀という話をしたのだが、この屋敷には使えているメイドや執事の他にも、メルジーナ様が手篭めにした人も住んでいるのだ。


 あのクズは女をイラつくほどの外面と、聞くだけで胸焼けを起こしそうなキザなセリフで女を落とし、その日の性欲を発散させるためだけで、一度ヤッたら捨てるようなクソ野郎でも、メルジーナ様はきちんとその人にも愛を向け、こうして一夜限りの付き合いだけではなく、生涯の面倒を見ると決めている。


 だから、その度に部屋が増え、階が増え……という感じなのだ。気づいたら横の長さが変わってるって中々怖いんだよな。


「アリス、ルーナ、早く行くぞ」


「あ、ちょっと待って!」


「待ってください!ティルファさん!」


 二人がぼーっとしているうちに、正門を開けてくぐり抜ける俺の後を慌てて追ってくる二人。


「どうしたの?そんな急いで」


「昨日、アリスにも説明したが、この街にはあのクズがいる」


 仕方なく共闘してやった忌々しいあの勇者。なんでもあいつもウルゴスに喧嘩を売られ、勇者の特殊技能の『原罪探知』でここまで追ってきたんだろう。どうしてあいつが探知に引っかからないかものすごく不思議だ。


「ここでモタモタしててエリアスと鉢合わせでもしたらたいへ―――――」


「呼んだか、役立たず」


 …………おいおいおいおい。嘘だろ嘘だろ?


 ギギギギギと、西の国で開発途中の『ロボット』とかいう機械でてきたやつみたいに首がゆっくりと回る。そこには、昨日も見たいけ好かない顔と、あまりにも露出が激しすぎる痴女がいた。後ろの方でアリスの可愛らしい「キャッ」という声が聞こえた。あまりの露出の激しさに見てるこっちが恥ずかしくなったんだろうな。


 ………さてと。


「ここでモタモタしててエリアスと鉢合わせしたら大変だからな。だから早いところメルジーナ様の所に行こうぞ」


「おい貴様。なぜ流れるように無視してもう一度同じのを繰り返した。無理があるだろうが」


 ……チッ、誤魔化せると思ったんだがな。あとなんか呆れが混じってたかのように感じたのは気の所為?


「………別に、お前と話すことなんて何も無い。仕方ねぇから共闘する。それだけだ」


 クルッと振り返って金髪を睨む。あいつと目を合わせたくなんてないから。てか顔も見たくない。


「ハッ、分かってるじゃねぇか。こんなのこの事件だけだ。お前と俺が共闘するなんてこと、もう二度と起きねぇし、顔を合わせることなんざ、俺の復讐が果たされるまでねぇからな」


「………へぇ、復讐ねぇ……一応聞いておくけど誰に?」


「言わねぇと……わかんねぇくらいに平和ボケしたか?色ボケ」


「ふーん………言ってろクズファッキン野郎が」


 俺の体から自然と魔力がゆっくりと溢れ出す。対するあいつの方も、やつの体から金色のオーラみたいな物が溢れ出てくる。


 一触即発。何かあればあいつの聖剣が、俺の魔法がここら辺一帯を更地に変えてしまうほどの空気になる。その瞬間――――


「えい」


「!?」


「「えっっっ!?」」


 あの痴女があのクズの手を握ったと思った瞬間、あの手を自身の胸にまで持っていき鷲掴みさせるように握らせた。


「……貴様、勝手に何をやっている」


 とか言いながら、あの手物凄い勢いであの胸揉みしだいてますけど………え?何やってんの?


「んっ、人に見られて……じゃなくて!こんなところで喧嘩はダメよ勇者様、迷惑になるわ」


「いつ止めようかと思ったけれど……そちらの子のおかげで助かったわね」


 と、いつの間にか俺の隣に立っていたマリナ様。多分、どこら辺で止めようかと様子を伺っていたのだろう。


「ティルファくん、いくらあのバカが嫌いだからって、人の家の前でそこら辺更地にしそうな喧嘩は辞めてね」


「…………ウッス」


 メッ!と鼻を少し小突かれた俺。されても性格が性格なので全然ドキってしなかった。



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おいおいおい。最近コメント少ないぞ?ウマ娘やってないの?やろうよ。みんなでうまぴょいして号泣しようぜ。


それと、ひーさん。今日第一志望の最終面接なんですって。頑張ってください。きっとあなたなら大丈夫です。これ読んだ皆さんも、ひーさんが受かるように祈りましょう。コメントで応援するのもよし!


祈願!貴殿の合格を祈っている!(理事長風)

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