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思えば自分の部屋に政宗を入れるのは初めてかもしれないと小春は思った。
政宗が小春の家に来るのは小春に会いに来るわけではなく、優也に会いに来ているのだ。優也が小春を手元に置いているからこそ、小春と政宗は繋がっていた。
それが今、外れた気がした。
理由はどうあれ、今日は小春のために政宗は来てくれたのだ。
「さて、どこがわからない?」
小春の対面に座った政宗は、テーブルの上に積み上げられた夏休みの宿題をパラパラと捲った。
男性なのにサラサラな髪の毛。長い睫。整った目鼻立ちに柔らかな笑顔。声色すらも柔らかく心地いい。長い指がページを捲る。そんな仕草さえ綺麗でかっこよく見えた。
ああ、好きだな。
そう思った瞬間、また小春の体温は上昇した気がした。ドキドキと鼓動が高鳴る。
「ん?どうした?」
何も答えない小春を不思議に思い、政宗は視線を小春に向ける。
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