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政宗が小春の家を訪れたのは夏休みも終わろうとする頃だった。
大きなケーキの箱を持って現れた政宗は、相変わらず優しい微笑みを小春に落とす。それだけで小春の胸は高鳴ってしまう。
「宿題、終わってないんだって?」
「救世主、政宗くん!」
「悪いな、政宗。」
「いや、いいよ。退院のお祝いも込めてケーキ持ってきた。」
「やったー!」
無邪気に喜ぶ小春に、政宗はほっと胸を撫で下ろした。手術が終わったらまた来るよと言っておきながら、自分のことで手一杯だったため全く会いに来れていなかった。そのことが少し気になっていたのだ。だから無邪気に喜んでもらえて安心した。
優也はおにぎり屋の仕事があるため、今回は小春と政宗は二人きりだ。
それを意識してしまったがために、小春の体温はぐっと上昇した。好きな人と二人きりになれるなんて胸がときめかないはずがない。勉強が手につくだろうかと、心配になってしまう。
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