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「医師にならないって、じゃあ何になるんだ?普通に企業に就職するのか?」


「そうだ。俺は起業して社長になる。」


「えっ?!起業?!」


一瞬驚いた政宗だったが、自信家の直己には医師という型にはまらずに自分で道を切り開いて行く方が似合っている気がした。


「なんか、直己らしいな。」


「そうだろう?それでさ、俺はお前をスカウトしたい。」


「……は?」


「俺と一緒に会社を起こさないか?」


「……え?」


言われた意味がわからず政宗は直己を凝視した。


「まあ、とりあえず話だけでも聞けって。」


直己は自分の将来ビジョンを夢熱く政宗に語った。自分には医師は向いていないということ。何となく親と同じ道に進んできたが、それではダメだということ。大学に入ってから視野が広がり、無限の可能性を見出だしたこと。


政宗と直己は境遇が似ている。

お互いに父親が医師で、高校から私立の難関校に入学した。国立の医学部へもストレート合格し、今のところ順風満帆な人生を送っている。


だからこそ、あえて別の夢を持ち、それに情熱を注ぐことができる直己を羨ましくも思った。自分にはない何かを直己は持っている。それは夢であり情熱であり、その熱量に触れた政宗は自分を見つめ直すきっかけとなった。

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