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政宗の通う大学は、夏休み中にも試験がある。

大変な勉強量を強いられる医学部で、政宗はなかなかの成績を修めてきていた。


高校からの同級生の直己も同じ大学の同じ医学部に進学していた。二人は日々切磋琢磨する仲だ。


「政宗はさ、このまま医師の道に進むのか?」


唐突に直己に言われ、政宗はドキリと肩を揺らした。ここ最近考え悩んでいることを見透かしたかのようなタイミングに度肝を抜かれる。


「……え?」


「いや、お前は立派な医師になれると思うよ。優秀だし優しいし、な。俺はさ、医師にはならない。」


「……なんで?せっかく医学部に入ったのに。直己だって成績優秀だろ?俺よりも機転が利くし、医師に向いてると思うけど?」


「そうだろ?俺もそう思う。」


「なんだよ、それは。」


変な自信に満ちている直己に、政宗は苦笑する。


いつもそうなのだ。

直己は自信家で、まっすぐ前を向いている。同じ道を目指しているようで、そうでもない。成績に関して言えば政宗と直己は優秀な部類に入り何ら問題もないのに、直己はいつもどこか一歩先を歩いているように感じられた。

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