28
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小春の手術も無事に終わり、予定どおり退院もできた。残りの夏休みはリハビリがてら家で療養だ。
「宿題が、ヤバイ!」
頭を抱えた小春に優也はうむと考える。
「中三かぁ。俺では教えられないな。」
さも当然かの如く頷く優也に、小春はガックリと項垂れる。入院しても夏休みの宿題は丸々ある。入院した分だけ引いてくれるわけではない。それに受験生だ。
「お兄ちゃん教えてよー。」
「読書感想文くらいなら手伝ってもいいよ。」
「それはもう終わったし。」
思い出されるのは政宗との約束。
また会いに来る、受験勉強も見てあげると言われ喜び浮かれたのに、あれから全然来てくれていない。もしかして自分から頼まないと来てくれないのだろうか。だけど頼むのは何だか勇気がいって、小春はじれったい気持ちでウズウズしていた。
「あーあ、政宗くんとか来てくれないかなぁ?」
小春はちらっと優也を見る。
だが優也は小春の心など察してはくれず、呆れたため息をついた。
「バカ言ってないで頑張れよ。」
「……はーい。」
小春の不満げな声は虚しく抜けていった。
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