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小春と別れてから、政宗は自問自答していた。
自分は何のために医師になるのだろう。
もう何度めかわからない質問に、自分自身辟易する。小春の心臓を治すため、たった一人のために医師になろうとしているのだろうか。小春以外にも患者さんはたくさんいる。その人たちを治してあげたい、そういう気持ちはないのだろうか。
ない、こともない。
自分の医療が誰かの役に立つ、こんなやりがいのあることはないだろう。
だけど……。
自分が医師になる前に小春は手術をし、治っていく。小春にとってみれば素晴らしい話だが、政宗にとってはショックなのだ。どうにも自分は用済みのような気がしてならない。
「……バカだな、俺は。」
呟きは誰に聞かれることもなく、静かに夕闇に消えていった。
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