27

小春と別れてから、政宗は自問自答していた。


自分は何のために医師になるのだろう。


もう何度めかわからない質問に、自分自身辟易する。小春の心臓を治すため、たった一人のために医師になろうとしているのだろうか。小春以外にも患者さんはたくさんいる。その人たちを治してあげたい、そういう気持ちはないのだろうか。


ない、こともない。

自分の医療が誰かの役に立つ、こんなやりがいのあることはないだろう。


だけど……。


自分が医師になる前に小春は手術をし、治っていく。小春にとってみれば素晴らしい話だが、政宗にとってはショックなのだ。どうにも自分は用済みのような気がしてならない。


「……バカだな、俺は。」


呟きは誰に聞かれることもなく、静かに夕闇に消えていった。

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