***小春15歳、政宗21歳***
17
それは突然の提案だった。
いつもの定期検診で病院を訪れた小春は、何を言われているのか分からず固まった。
代わりに母親が疑問を口にする。
「手術、ですか?」
「そうです。小春ちゃんも14歳です。赤ちゃんの頃ではできなかった手術が、今ならリスクも低く受けることができます。一度考えてみてもいいかと思いますよ。」
小春にとっては青天の霹靂だった。
このまま運動ができない、いつ発作が起きるとも限らない爆弾を抱えた体から解放されるかもしれないのだ。
手術を受けることで完治とまではいかないにしろ、それに近い状態になる。大空の下、思い切り走ることができるかもしれない。
それは小春にとって夢でもある。
いつか思い切り走ってみたい。
風を切るくらいに駆け抜けたい。
でも、走れなくても大丈夫。
運動ができないくらい何てことはない。
それ以外は普通の生活をおくれているのだから。
そう自分を納得させていたが、本当は運動のできない自分を疎ましく思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます