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「そう、お医者さんになったら、俺が小春の心臓を治してあげるね。」


そう言って、小春の頭をポンポンと優しく撫でる。


瞬間、小春は全身電気が走ったかのようにじんと痺れた。

自分の心臓は治るものじゃない。主治医だって両親だって、受け入れて頑張っていこうとしか言わなかった。

“治してあげる”と言われたのは初めてだった。

この世界に、まさかそんなことを言ってくれる人がいるとは思わなかった。


じわじわと込み上げるものが何かよくわからない。わからないけど、小春は泣きそうになるのをぐっと堪える。

そして小春は政宗の背を思い切り押した。


「政宗くん、予備校遅れるよ。」


「ああ、そうだね、行ってきます。」


手を振り別れる。

去り際に、また政宗は柔らかく笑った。

遠くなる背を見つめながら、小春は胸のときめきを止められないでいた。


そしてこれが恋心だと気づいたのは、もうしばらく経ってからのことだった。

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