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小春自身は、手術を受けたい気持ちと手術が怖い気持ちで葛藤していたが、思いの外両親は手術に賛成だった。
「だって小春が走ることができるようになるのよ。夢のようだわ。」
母親が胸を詰まらせ涙ながらに言い、父親も感慨深く頷く。
「小春、頑張れよ。」
兄にまで後押しされてしまっては、断ることはできなさそうだ。
それもそのはず、両親は小春が心臓病だと宣告された日、“もしかしたら長く生きることは難しいかもしれない”と言われていた。いつか突然死んでしまうのではないか、そんな漠然とした不安を抱えつつも、何事もなく今まで過ごしてきたことは奇跡としか言いようがない。今でこそ主治医は“いつまで生きられる”という生存率の話はしなくなったが、両親の中にはずっと小春の心臓に対する不安が付きまとっていた。
治るなら、今よりよくなるなら、是非にでも手術をというのが、両親の想いだった。
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