第5話
皆さんの暖かいコメント等に心が癒されます。今回も少しだけ長いです。
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「えっと……」
選ぶことになったのはいいがサイズが分からないので下着と睨めっこすることしか出来なかった。それに気づいてくれた篠崎さんがありがたいアドバイスをくれる。しかし余計…ではないけどこの場では必要のない情報まで教えてくれた。
「そういえばスリーサイズを教えていませんでしたね。上から82、53、90のCカップです。この前神谷くんの性癖調査をして出た結果が胸は平均より少し大きいくらい、お尻は安産型の大きめサイズと私のスタイルにとてもマッチしていることが分かりました」
何故俺の性癖調査までできるんだ……。しかも好みが篠崎さんのスタイルってことバレてるし。
「あ、あはは…Cカップね……じゃあこれなんてどう?青色のセットで篠崎さんにも似合うと思う」
「分かりました。それも買いましょう。では次です。さぁどんどん趣味全開で選んでください。少しでも自分に嘘をついて興奮しないものでも選んだら次の瞬間には人差し指が変な方向に曲がりますからね」
そう……依然として俺の指は篠崎さんによって何時でも折れるように握られている。篠崎さんは俺の嘘を見分ける自信があるようだ。流石ヤンデレ。考えてることなどお見通しらしい。
つまり何が言いたいか……俺は自分の性癖全開で下着を選ばなければ指を折られバッドエンド行きなのだ。今の青色の下着も少し透けており大人の色気を感じさせるものとなっていた。パンツも紐パンだ。
最初に趣味とは離れたものを選ぼうとしたのだがその時指に少し力を込められ動きを止められた。だから俺の考えてることが分かるのも間違いではないだろう。あれは警告のはずだ。次やったら確実に折られる。
「いい子ですよ神谷くん。今だけは私が主導権を握っています。何も考えず欲望に従うのが賢明ですからね」
「う、うん。そうみたい……この列には無さそう。別の場所行こ」
「……そうですね。では移動しましょう」
篠崎さんに指を握られたまま移動する。ちょっとそこの店員さん…同情の目で見ないでくれ。
「むっ……今そこの店員と目を合わせましたね。駄目ですよ神谷くん?私以外の女と目を合わせたら」
「いでっ……た、たまたまだよ。俺は篠崎さん以外興味ないから」
「…そうですか///仕方ないですね。一回目は許してあげます」
いや危ねぇ……。こんなの選択肢ミスったらゲームオーバー系のギャルゲーじゃん。まさかリアルですることになるとは……。雅紀ごめんな。いつも選択肢ミスって叫んでたお前をバカにしてたこと謝る。俺ならミスしないって思ってたけどミスるわ。難しすぎる。今度なにか奢るよ。
「守屋さんのことを考えてる暇があったら1着でも多く選んでください。このペースだと日が暮れちゃいますよ」
出たよナチュラル読心。ヤンデレしか出来ないだろこんな芸当。どうやったら出来るんだ。
「……これとこれ。色違いだけどどっちも篠崎さんに似合うからいいと思う」
「じゃあそれも買いですね。今ので3着です。後、最低でも17着ですよ。頑張ってください」
この後1時間かけて17着選び終えた俺を誰か褒めてくれ。毎回毎回いいなと思った下着を篠崎さんが着てるイメージをして選んだ俺を褒めてくれ。
しかしデートは始まったばかり。今の時刻は10時過ぎ。デートが終わるまでまだまだだろう。
「お疲れ様でした。神谷くんが選んでくれた下着、大事に着ますね」
「うん。そうしてくれるとありがたい」
ちなみにあの下着全部で数百万……恐ろしすぎる。一般人の年収と同じくらいってヤバすぎるでしょ。どんな生地使ってんだよ。
大量の下着はどうやら篠崎さんの家まで輸送されるらしい。お陰で手ぶらで次の場所へ行ける。
ついでに指も自由になり腕組みに戻った。しかしだんだんと密着具合が強くなってるのは気のせいではないはず。
「次の場所に行く前に神谷くんが頑張って下さったので少し休憩しましょうか。あそこのカフェで休みましょう」
「そうしよっか……」
「あそこはカップル専用のカフェなんですよ。知ってました?」
「…知らなかった。そんな所があるんだね」
カップル専用…きっとカップル証明をしなければいけない場所なんだろ?キスか?ハグか?それとも両方か?
「さて入りましょうか。そうそう……このカフェではカップル証明をしなくてはならなくてですね。神谷くんには私の要望通りのことをして頂きたいと思っています。神谷くん。私の要望聞いてくださいね?」
「……うん。善処するよ」
それ嫌な予感がするやつ……。篠崎さんの要望って絶対ハグキスとかじゃ済まないでしょ。
今から違う場所が無いか周りを見るが何処にもカフェなどは無かった。まさかこれもすらも計画だったのか?
「ふふっ心配要りません。難しいことはお願いしませんから。ちょーっとだけ刺激が強いだけですから♡」
「程々にね……」
ドアを引くとスイーツの甘い匂いが鼻腔をくすぐる。やはりカップル専門店なのは本当らしく周りにはデザートを食べさせ合いしたり、一つの飲み物を二人でシェアしている人もいた。
そしてここでもまた女性店員が出てきた。
「いらっしゃいませ〜。当店のご利用は初めてですか?」
「はい」
「ではご説明させていただきます。当店はカップル専用のカフェでして初めての方にはカップル証明書を撮らせていただいております。次回からはそれを見せていただければ大丈夫でございます。証明の仕方はお客様によって様々でして、何回か試される方もいます。私がこちらのカメラで何枚か写真を撮るのでその中から気に入ったものをお選びください」
「分かりました。神谷くん。私の言う通りにしてくださいね」
「はい……」
楽しそうな笑みを浮かべている篠崎さんを見てより一層不安が募る。
すると篠崎さんが壁に寄りかかった。……壁ドンするの?もしかして思ったより簡単?
しかしそんなことは無かった。
「まずは私の脚の間に片脚を入れてください」
「こう?」
「んっ♡もうちょっと……私を脚で持ち上げる感じでんんっ♡いいですよ♡」
篠崎さんの足先が地面から離れる。これ……思ったより大変なことしてない?
「そ、そのまま……私の両腕を壁に押さえつけてください♡」
「……」
「はぁ〜♡中々良いですよ神谷くん♡これで私は身動きが取れなくなっちゃいました。さて……野獣になった神谷くんは私にどんなことをするのでしょうか?」
キス……ですね。なるほど。篠崎さんはヤンデレでありMでもあると……。嗜虐的な一面もあるからSMか。
それより俺からキスをさせようとしてくるとは…。あくまで俺が襲っているということにしたいのか。
「はわわ……過激な演出はお控えくださいね」
「大丈夫です。さっ神谷くん。抵抗出来ない私へ熱いキスをしてくださいな♡」
「ったく……んっ」
「んふっ♡」
「…………あっ!と、撮りますよ!」
……案外いいな。抵抗出来ない篠崎さんに何かするのって。ハマりそうだ。
そういえば今って篠崎さんの体重は全て俺の脚で支えてんだよな。軽すぎて負担がほぼないけど。揺すったらどんな反応するんだろ?
俺は貧乏揺すりの要領で脚を振動させる。次の瞬間、篠崎さんが目を見開き、脚をカクカクと震わせた。
「んん゛っ♡♡」
「…あっ。ご、ごめん!大丈夫!?」
「……っ♡ふぁい♡らいひょうふれふ♡れもこひがぬけて♡」
「あぁ!ご、ごごご、ごめん!すみません!写真後でいいですか!?」
「えっ、はい!大丈夫ですよ。でも彼女さん大丈夫ですか?」
「ははっ……キスで腰抜かすような可愛い子なんです。席空いてますか?」
「はい。ご案内致します」
「篠崎さん。少し失礼」
篠崎さんをおんぶして店員さんの後を着いていく。背中の篠崎さんはか細い声で何か言っている。
調子乗りすぎたな……。
「どうぞごゆっくりお過ごしください」
「ありがとうございます」
篠崎さんを下ろして向かいの座席に座る。篠崎さんは白い頬を真っ赤に染めて虚空を見つめていた。
「す、凄い……♡神谷くんの脚凄いですっ♡」
「ごめんね篠崎さん。ちょっと揺すってみようと思って……」
「だ、大丈夫です……ふぅ、すぅ……はぁ……よし。お待たせしました。見苦しい所を見せてしまいましたね」
「いや見苦しくはなかったよ。むしろ……」
エロかった。あの時の篠崎さんが脳裏を離れない。トロットロに蕩けた表情にいつもより少し高くなった声。いつもの凛とした姿が跡形もなく消え、そこには雄を刺激する雌の篠崎さんが存在していた。今も潤んだ瞳で俺を見つめてくる。
やっぱり目にハートマークが浮かんで見えるよ。
「……メニュー選ぼっか」
「……そうですね」
「じゃあ……これ」
「いいですよ。頼みましょうか」
「「……」」
お互い気まずさが臨界突破して無言で見つめ合う。しかし、篠崎さんが手を握ってきて口を開く。
「……またやって欲しいです///」
「い、いいの?また変になるかも」
「いいんです。その……あの時神谷くんがいっぱい頭に入ってきて……幸せで…気持ちよくて…うぅ///」
めっっちゃ可愛ええ。積極的な篠崎さんもいいけどいじらしい篠崎さんもナイスだ。モジモジしてて庇護欲が唆られる。
この後無事落ち着きを取り戻せた俺たちは頼んだコーヒーを飲みながら写真を選びカップル証明書というものを貰ってカフェを出た。カップル証明書があると2割引らしい。
あそこのカフェ神じゃん。
時刻は11時前。濃すぎる内容の割には時間が全く経ってない。果たして俺は午後まで頑張れるだろうか。
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篠崎さんマジH
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