第10話 旅して恋して(リーファ視点)
「……私なにしてるんだろ?……」
擦りむいた膝を抱えるように座り込み、私は呟いた。
仲良くいる2人を見て……思わず逃げてきてしまった。
もちろん前の宿で、アーツとは結ばれる宣言をしてるので、いつか私とアーツはそういう関係になるとは思っている。
最近ではモンスターハントなんかでアーツと一緒に行動していると、自然とアーツを目で追っている。
アーツの横顔を見てニヤついてる自分に驚いたりもしている。
……でもアーツを目の前にすると素直になれない自分がいる。
お母さんは大好きだし、アーツも……嫌いじゃない……今ではむしろ……。
むしろアーツの事が好きになっているんだろう……というか大好きだなぁ。
リーファは今の状況も忘れニヤついてしまう。
……でも
……だから、そんな2人を見た瞬間、思わず逃げだしちゃってた……。
そして、ぼろぼろ泣きながら走る私は……涙で前も見えず走っていると、突然足元が無くなり巨大なクレバス(大地の割れ目)に落ちてしまった。
いちおうとっさに身を守ったため、大きなけがはしていないが、かなり深いところに滑り落ちてしまっていたみたい。
だからとてもじゃないが自分では上がれないだろう。
上を見上げるとかなり遠くに薄っすらと月明かりが見える。
以前は大きな渓谷だったのか、谷底に少し残る水がお尻を濡らす。
……アーツの前では身綺麗にしていた私もすっかり泥だらけだ……。
「……ほんと何してんだろ?……私……このままひとり死んじゃうのかな……」
考えるうちにまた涙が止まらなくなって、目の前が涙でにじむ……。
「お母さん……」
母の顔が浮かぶ……そして。
「アーツ……会いたいよぉ……」
今なら素直になれるのに……今だから素直になれるから……。
膝を抱えながらぼんやりと考える。
そうしていると、なにやらお尻の辺りに違和感が……。
「!?……水?……水が増えてきている?」
軽くお尻を濡らしていた程度の水が、水かさを増してきてる!?
辺りを観察すると「ゴーッ」と重たい水音が聞こえてくる。
「なにこれ?……」
訳も分からず立ち上がったが、水はどんどん増え、もう膝をこえ太ももまで濡らしている!
そうして身構えている内にもどんどん水は増え、あっという間に立ち泳ぎしている状態になってしまっていた。
……どれくらい経っただろう……水はいつの間にか止まり、辺りは静まり返っている。
頭上の月明かりはだいぶ近づいたが、まだまだ自力で上がれる高さじゃない。
「……もう疲れちゃった……」
私は気を抜けば沈んでしまう危うさのなか、なんとか浮かんでいた。
でももう疲れちゃった……。
私は……最後の力を振り絞り、最後に会いたい人の名前を叫ぶ。
「アーーーーツゥーーーー!!!」
……と突然!
ザッバーーーン!!!
と、いきなり私のすぐ近くにいきなり大きな水しぶきが上がった!
「やっと見つけた」
飛び込んできたアーツは私に優しく声をかける。
「!!!」
私は声にならない叫び声を上げて、思いきりアーツの胸に飛び込んだ。
「アーツ!アーツゥ!」
さっきまでの不安が嘘のように消え、今ではアーツの胸の中で幸せに包まれている。
「遅くなってすまない、クレバスの底にリーファが落ちたのが水精霊で分かり、水位を上げて助けようとしたんだが……途中でモンスターが現れて……」
アーツが私の涙を拭いながら、そう話してくれる。
「このまま上がるぞ」
そう言いながらアーツは水精霊に意識を向ける。
すると私たちの周りの水がどんどん水かさを増して、あっという間に地上へと私たちを運んでくれた。
「さっきまでクレバスだったのに、湖を作ってしまった」
と、くすりと笑うアーツ。
月明かりの下、アーツの水で満たされた湖の中心で、私たちは抱きしめ合っていた。
「そろそろ出ようか?」
湖の岸へと向かおうとするアーツだったが私はそれを止める。
「?」きょとんとするアーツ。
そんなアーツがとっても愛おしくて……私はアーツに思いきりキスをした。
驚いて目を真ん丸に見開いたアーツだったけど、そんなのはお構いなしだ。
それより身体が熱い……私、発情してる……。
アーツが欲しい!
私はアーツにキスしたまま、もどかしく服を脱ぎすて生まれたままの姿になった。
そしてアーツの服もはだけさせた……のだが。
……固まる私……勢いだけで脱いじゃった……ここからどうすれば良いの?
アーツはそんな固まる私を見て理解したのか、私をかき抱き、優しくリードしてくれる。
そして今度はアーツからキスしてくれる。
最初は啄ばむように優しく私の口を愛撫し……私がたまらず吐息を出した隙間から、そっと舌を入れてきた。
そしてゆっくりと優しく、私の口の中の全てに印を残すように……アーツの舌は私を征服した。
アーツの唾液はとろっとしてとても甘い……そうしてお互いの唾液はとめどなく溢れ交じり合い……私は喜んでそれを嚥下する。
息も絶え絶えに思う……『アーツとお母さん、毎回こんなキスしてるの!?』
快感で霞みがかった頭の中で、ぼんやりとそんな事を考える私は、すっかり全身の力が抜けてしまい、もうアーツにされるがままだった。
月明かりに照らされた湖の真ん中で、生まれたままの姿で抱きしめ合う私たちは、水の温度も気にならないほど熱く火照っていた。
……そしてアーツの優しいリードによって、私たちは結ばれた。
……私の初めてをアーツに捧げたのだった。
アーツは私を強く抱きしめながら、全てを出しきったのか荒い息をついている。
そして私の中では、出しきってもまだ熱いものがドクッドクッと脈づいている。
私の中が満たされている。
そんな熱さと充満感も私には嬉しかった。
少し落ち着いたアーツは照れながらも言う。
「帰ろうか?」
「うん」
私はもう一度アーツをギュッと抱きしめて湖を出た。
湖を出ると、少し興奮が冷めてきて……辺りを見回すと、ウッドグリズリーの死骸が何体かあった。
「……ごめんなさい」
アーツが倒してくれたのだろう……私はアーツを危険にさらし、迷惑をかけた事を謝った。
「ちゃんと謝れたから大丈夫、リーファが無事だったことが何よりだよ」
アーツは優しく頭を撫でてくれる。
「そ、それよりお母さん、お母さんのところに帰らないとっ!」
私はアーツの優しさにニヤけそうなのを隠して早口で言った。
「そうだな……あ、少しグリズリーの素材だけ集めてそれから行こう」
アーツはそう言い、私たちはグリズリーの処理を手分けしておこない帰りの準備をした。
帰り道が分かるか不安だったが、目の前を行くアーツは迷いなく進む。
どうやら母さんの場所からここまでの道程を、水精霊で水浸しにしながら来たみたい。
……ここまでの道がちょっとした小川になっている……ほんと呆れた精霊力だわ。
「リーファ!」
戻った私たちを、お母さんは優しく抱きしめてくれた。
「お母さんごめんなさい」
泣きながらお母さんを抱きしめ、私は謝った。
「いいのよリーファそれよりも、ちゃんとアーツ様にお礼は言った?」
お母さんはアーツと同じように私の頭を撫でながら言った。
「あ、謝ったけどお礼は言ってない!」
「アーツ……その……さっきはありがとう」
私は改めてアーツに助けてくれたお礼をした。
「ん?ああ、大丈夫だよリーファ」
と、私を見て微笑んでくれるアーツ。
「!!!?」
……そうしていると急にさっきの事が思い出されて真っ赤になる私!
ボッ……顔から火が出そう……。
そんな私たちを見ていたお母さんは……。
「リーファ……アーツ様と結ばれたのね。お母さん嬉しいわ」
と、あっさりバレちゃった。
真っ赤になる私と、照れ笑いを浮かべるアーツを、尻目にお母さんは寝床の準備をし出した。
「さあ、アーツ様もリーファも疲れていることでしょう。今夜はゆっくり休みましょう」
お母さんはそう言うと、私たちを寝床に押しやると、自分もその隣に横になった。
これまでの旅では、寝るときはお母さんを真ん中に寝ていたが、今日からはアーツが真ん中になるみたい。
私は少し恥ずかしくもあったが、自然に受け入れることができた。
すぐ隣にアーツの体温を感じる……。
……とアーツの向こうにいるお母さんが少し身体を起こし、私を見ているのに気づいた。
『今夜はしっかり愛してもらいなさい』
お母さんは声には出さず、口の動きだけでそう伝えてきた。
そしてウインクした後、さっさと寝てしまった。
私は自分の顔が火照るのを感じながら、アーツが隣にいるのをますます意識してしまった。
もっとアーツに密着したい!
今ならお母さんの気持ちが分かる!
火照りが全身にまわった私は、そっと服をはだけながら、アーツの太ももに自分の太ももを絡め、アーツの首元に自分の顔を押し付けた。
アーツも熱くなったのだろう、私の方へ寝返りを打つと、私の太ももへ熱く猛々しいものを擦りつけてきて……。
このあと滅茶苦茶セックスした(これはアーツが教えてくれた言い方よ♡)
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