夢
夢を見ていた。小さな銀髪の女の子が寂しそうにしている夢だ。
夏休みに散歩していると、神社の隅っこに女の子がぽつんとしているのを見かけた。小学生低学年くらいの女の子だった。その女の子は外国の子なのか、白銀色の髪と
無人の神社で、その女の子はあまりに浮いていて、非現実的だった。彼女が浮世離れしていたからだろうか。どうしてか彼女に興味を持ってしまって、思わず俺は話しかけていた。
『君、こんなところでどうしたの? 友達は?』
女の子は極度の人見知りなのだろう。顔を赤らめてちらちらとこちらを見るが、言葉が返ってこない。
言葉が伝わらないのかと思って、『日本語わかる?』と訊くと、こくりと頷いてくれた。だが、それ以降何か会話に発展する気配がない。
何か彼女と共通の話題になりそうなものを、と周囲を見渡して探すが、何もなかった。
どうしたもんかな、と思ってポケットに手を突っ込むと、飴玉袋がかさっと音をした。昨日、後で食べようと思った飴玉をポケットに入れたままだったのだ。
『飴玉、食べる?』
飴玉を袋から出して訊いてみると、彼女はもう一度、こくりと頷いた。
彼女が手を伸ばそうとしたので、俺はひょいとそれを彼女から遠ざける。困惑して女の子はこちらを見上げていた。
『飴あげるから、名前教えて? さすがに名前も知らない子にお菓子あげるのも変だし』
そう言うと、彼女はぱぁっと顔を明るくさせて、頷いた。
『──
それから心を開いてくれたのか、少しずつ話してくれた。
両親が仕事でいなくて、一人である事。転校してきてから、友達が作れない事。自身の髪の毛の色や、瞳の色が皆と違う事を気にしている事。
東京だと日本人と外国人のミックスは珍しくないし、色んな人種がいるのでそれほど気にはならないが、田舎町ではかなり浮いてしまっているらしい。
そこでわかった事は、彼女が小学二年生だったという事。二年生と言えば、
『
彼女は首を横に振った。どうやらクラスが違うらしい。それなら、彼女を紹介してやろう。俺は不思議とそう考えていた。
きっと、彼女の笑顔が可愛らしくて、こんなところで一人でしょんぼりしているより、友達と笑い合っていた方がいいと思ったからだ。深くは考えていなかったように思う。
だから俺は、一緒に遊びに行こう、と彼女の手を引いた。
彼女は驚いた様にこちらを見て、柔らかく微笑んで頷いてくれたのだった──。
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