第6話 宿題

「シャン、来てくれたんだね」


「ノボル! これ忘れ物よ、あと、宿題は終わった?」


手にはキャンプの時に買ったキーホルダーのお土産があった。


宿題は例の“あなたはこの人生で何をしたい? 何を残したい?”だ。


「シャン、それは君が持っていて欲しい。

いつか再会する時にもらうとするよ。あと、宿題は……」


——日本行きのお客様は——


空港アナウンスが流れた。


「宿題もおあずけだ!」


「ノボルったら!」


「シャン、本当にありがとう。

君との日々は僕の人生の中でとても特別な時間だった」


「私もよ。一緒に過ごせて良かったわ、あと……これは飛行機の中で読んで」


僕たちはハグをして、そして、手を握った。


僕は温もりを忘れないようにそっと手を離した。


シャンの瞳からは涙がこぼれ落ちていた。


この日に限って、彼女は『遅刻』しなかった。


飛行機が離陸してから

僕はシャンから手渡されていた手紙を開こうかどうか悩んでいた。


どうしても、どうしても開く勇気が出なかった。


でも何かの合図が必要だと思って

シートベルトサインが消えたら開こうと思った。


そして、


いよいよサインが消えた。


手紙を開くとそこにはシャンのいつもの綺麗な字で

沢山のメッセージが書かれていた。


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