第2話 クレバー

留学期間は早いもので気づいたら三カ月程、過ぎていた。


僕の勉強も順調で最新のマーケティング理論や、

ファイナンスなどしっかり学ぶことが出来ていた。


しかし、毎週あるテストではいつも二位だった。


そう。


いつも、いつも一位はシャンだった。


どんなに勉強しても、ほんの少しの差でシャンに負けてしまう。

彼女はとてもクレバーだった。


この三カ月の間にシャンとは学校行事でのキャンプやコンサート、

学校祭などで一緒になった。

僕はピアノを小さい頃からやっており、

彼女は歌う事が好きで一緒に出演したりした。


図書室での勉強も一緒にした。


その中で、彼女はいつも僕にある質問をしてきた。


「あなたはこの人生で何をしたい? 何を残したい?」


まさか年下の大学生にこのような哲学的な問いをされるとは

思ってもみなかったから最初僕は戸惑ってしまった。


即答出来ない僕にシャンはいつも

「ノボル! これ宿題ね!」

そうやって笑いながらいつも僕をからかうのだった。


そして、君は? 

と聞く前にシャンはいつも笑いながら消えていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る