アフターワード (1)

 高校を卒業して大学に進学出来た俺は、入学してからまだ数ヶ月だがキャンパスライフを楽しんでいる。

 大学は実家から通っており、通学時間も大体1時間位で有るから、通うには問題ない距離で有る。後少しすれば、大学生活初めての夏休みが来る。


 高校の時のクラスメイトの親友で有った、大谷の付き合いも続いておる。

 相変らずアニメや本、PCゲームの話題が中心だが、俺もそれが性に合っているみたいで気が合う親友だ。

 その所為もあってか、大谷にはまだ春が来ていないみたいだが、アルバイト先で知り合った年下の女性とは仲が良いと聞いた。

 あいつにも春が来ると良いなと俺は感じた。


 日生の方は、全くの音沙汰無しで有り、あの女が今、どの様な生活をしているかは不明だ。

 真央の話では、日生とその彼氏が上京する時に、彼氏の女友達も一緒に上京したらしいから、上京先の何処かで3人暮らしをしているのか、それとも消息不明になっているかは判らない……


 日生の両親も日生に余り関心が無く、真央が日生の両親に時々、探りを入れているみたいだが、世間話をして終わってしまうらしい。

 中学生時代の真央と日生は、それぞれの家で良く遊んでいたらしく、お互いの両親との面識は有るみたいだ。


 真央は日生とは喧嘩別れはしたが、縁は切っておらず、そうやって状況を確認している状態だ。日生の携帯の電話番号は上京する時に解約されたか、彼氏が解約したかは不明だが、日生に電話連絡等は出来ない。


 俺は日生とは本当に二度と関わりたく無いが、やはり親友時代、1週間だが恋人時代、真央の親友と成ると……気に掛けるしかなかった。


 ☆


 今日1日の大学の講義を終えて時刻は16時前。今日はアルバイトのシフトが入っていない日。

 俺は彼女と遊びに行くため、何時もの待ち合わせ場所で彼女を待つ。


 ちなみに俺のアルバイト先は家近くのスーパーで、仕事内容は品出しが中心だが、ヘルプの時にはレジを担当する時が有る。

 中堅スーパーなのでシフトの融通も利きやすく、コンプライアンスもしっかりしている。

 もちろん忙しい時は有るが、俺はそのスーパーを子どもの時から知っている事も有って、従業員やパートさん、アルバイト仲間みんなが優しくしてくれる。


 誰に俺のアルバイト先を説明しているか分からないが、その説明が終わると同時に彼女がやって来る。まだ本当の彼女では無いが……


「おまたせ良輔。待った?」


「5分待った!」

「でも、大丈夫だよ。真央!」


「もう、それ位良いでしょ!」


 真央は『プク―』と顔を膨らませる。

 しかし、直ぐに機嫌は直り……


「それで、今日はどこに行く?」


 と真央は聞いてくる。


「その前にコーヒーショップでも行こうか?」

「今日はだいぶ暑いし!」


「そうだね!」

「冷たい物でも飲みながら、予定を決めようか!」


 俺と真央は大学近くの有名コーヒーショップに入り、飲み物と軽食を注文する。

 真央はおごられるのが嫌いな性分らしいので、基本は全て割り勘か個人精算だ。

 俺はアルバイトを初めて数ヶ月に成るが、まだ十分な蓄えが出来ていないので、本当に有り難い彼女(親友)で有る。


 俺はアイスコーヒーに当たる物とサンドイッチ系を買って、彼女はミルクティーにホイップクリームを乗せた物とデザート系を購入した。

 夕方に近い事も有って店内は比較的賑わっているが、店の奥の方で空席を見つけ、俺達はそこに座る。


 それぞれが買った飲み物を飲んで、俺と真央は喉を潤す。


「いや~、しかし…真央が、俺と同じ大学に進学してくるとは、夢にも思っていなかったよ」

「真央と進路の相談をした時に『良輔と同じ大学に行こうかな♪』と言うから」

「真央ならもっと、レベルの高い大学目指せられたのに…」


「何か、良輔と同じ大学に行くのも悪くないかなと感じて」

「この大学にも学びたい科目が有ったし!」


 俺と真央は同じ大学に通っている。

 科目は違うが同じ大学のため、高校の時と似たような付き合いが出来る。


 店内で寛ぎながら大学内の話、お互いのアルバイト話、世間話などをする。

 夕方の時間を真央とコーヒーショップで楽しんでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る