第18話 それぞれの道

 日生と遊園地デートをしたのは土曜日で有る。

 そして、今日は日曜日。


 昨夜、日生にメッセージを送ったのだが、返信が来ないまま日曜日を向かえてしまう。

 久しぶりの両親との食事で、舞い上がったのかなと思っていたが…、もうすぐお昼時の時間に成るのに、未だにメッセージの既読マークすら付かないのは、流石におかしいと感じた。


 お昼ご飯を食べて、所要を済ませて、時間が有る時にSNSの日生のメッセージ欄を見るが、やはり返信どころか既読マークは付いていない。

 俺は思いきって、SNSの通話機能を使って日生との通話を試みるが、日生は電話には出ない……。流石におかしいと思い、真央にSNSで連絡を取ってみるが……


「真央。こんにちは」

「日生にSNSで連絡取っているのだけど、既読マークすら付かないんだ」

「どうしよ…(;。;)」


 俺が真央にメッセージを送ると、数分で真央から返信が来る。


『こんにちは(^^)』

『それ、日生がスマートフォンの充電し忘れているのだよ!』

『私も良く、日生に連絡付かない時有るもん!!』

『もしかして、それは大事な用事?』


「いや、そんな事無いけど…」

「連絡が付かないから、心配に成っただけ!」


『そう!!』

『どうしても大事な用事がだったら、日生の家の固定電話に、私が連絡して上げる!!』


「あっ、そこまで大事な要件じゃ無いから大丈夫!」

「ありがとう、真央(*’-‘*)」


『いえ、いえ』

『どういたしましてw』


 真央がそう言うなら、真央のことを信用することにした。

 俺と日生の関係はネット上の関係では無い!

 SNSの連絡が途絶えていても、リアルで人と人が繋がっているんだ!!

 明日学校で日生に会えば、普通通りに接してくれるだろうと、俺はそう信じていた……


 月曜日……


 何時もの時間に家を出て、駅に向かい電車に乗って、学校の最寄り駅で電車から降りて、学校までの通学路を歩く……


 学校に到着して、昇降口でスリッパに履き替えて教室に向かう。

 教室に入り、クラスメイト達の挨拶もそこそこにして、俺は日生の席を見るが、彼女はまだ登校していない様だ。


(あれ?)

(何時もなら、もう来ているはずだが…?)


 日生が学校に来ていない事を心配がするが、始業のチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入って来る。


「はい。では…、号令をお願いします!」


「起立~~」


 クラス委員長が号令を掛けて、挨拶をして、朝のHR(ホームルーム)が始まり、先生が出欠を取る。

 男子達は名前が呼ばれると返事をして、俺の名前が呼ばれると俺は返事をする。

 男子達の点呼が終わると今度は女子の番で有る。

 女子達も同じように返事をして行き、日生の番が来ると先生は言う。


「…午前中、欠席の連絡を貰っています」


 先生はその様に言う。


(……午前中は休みか)

(体調でも崩したのかな?)


 俺は後で、真央に日生の事を聞いて見ようと思った。


 ……


 授業の合間の休憩(移動)時間。

 俺は真央にSNSで連絡を取る。


「真央」

「日生。午前中休みだけど、何か知っている?」


 俺は真央にメッセージを送信する。

 すると、直ぐに真央から返信が来る。


『日生?』

『私は、何も聞いていない~~(>_<)』

 

「そうか……ありがとう」


 俺は真央に、そう返信をする。


(真央も知らないか……)

(まぁ、昼から来るらしいから大丈夫か…)


 直ぐに始業チャイムが鳴る時間だったため、俺は深く考えずに次の授業の準備をした。


 ……


 午後の授業からは日生は学校に来たが、本当にギリギリに来た。

 俺の中ではてっきり、お昼休みの時間に来る者だと思っていたからだ。

 俺の席と日生の席は離れているため、挨拶は簡単には掛けられない。

 日生もそれを知っているのか、わざと俺の付近を通らない様にして自分の席に座る。


 午後からの授業も進んで行き、授業の合間時間に日生に声を掛けようとするが、直ぐに女子達と教室を出て行ったり、スマートフォンを持って教室を出て行く……。全く声を掛ける機会が無い……

 スマートフォンを持って、教室の外に出るという事は、スマートフォンのバッテリーは有る証拠だ! 


 しかし、俺が日生に送ったメッセージには、既読マークは未だに付いていない。

 結局、日生に声を掛けられず、夕方のHRが始まる。

 HRも終わり、それぞれが部活やクラブ活動に向かう中、俺も急いで帰る準備を終えて、日生の席に向かおうとしていたが、逆に日生が俺の席にやって来る。


「良輔。話が有る」

「中庭に今から来て」


 愛嬌の有る日生の顔で無く、真顔で真剣な日生は、俺にその言葉を言って来る。

 俺は何かの覚悟をしながらバックを持って、日生と一緒に中庭に向かう。


 案の定、誰も居ない中庭。

 根を詰めた話をするには持って来いの場所だが、日生は何を言い出すのだろうか?

 しかし、俺の中では分かりきっていた。


『どうせ、別れよう』と言うのだろう。


 お互いが向き合うが、俺からは声を掛ける気はしなかった。

 日生が俺を呼び出したのだから、日生から話すべきだ!


「……」


「……」


 また、無言の時間が続く……

 俺は日生から発する言葉に緊張しながら立ち尽くした。

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