第8話 ランチタイム

 4時間目の授業も無事に終わり、お昼時間がやってきた!

 お昼には約束通り真央が教室にやってきた。


「日生。良輔。来たよ! ご飯食べよ!!」


「おう! 分かった!!」


 今朝コンビニで買った、サンドイッチとおにぎりの入ったレジ袋をぶら下げて、俺は真央を招く。


「日生も早く~~」


 真央は日生にそう言う。


「あっ、ごめん~~。私、今日購買なの!」


 手ぶらで来た日生は、真央にそう言う。


「えっ、日生。購買なの? 何時も買って来るのに!?」


「ちょっと、急いでいたから、買えなかった~~」


「ふ~ん。待ってるから、急いで買ってきたら?」


「うん。行ってくる~」


「行ってらっしゃい~」


「行ってらっしゃい~」


 俺と真央の声が丁度ハモる。ハモって、思わず顔を見合わせて笑ってしまう。

 日生は小走りで購買に向かって行った。


「良輔! 日生とはどうなった?」


 日生が見えなくなったのを確認してから真央が聞いてきた。


「複雑……」


「えっ、どういう事?」


「日生、彼氏居るんだって。でも、別れてくれるんだって…」


「何それ?」

「……でも別れてくれるなら良かったね! おめでとう!!」


 真央は複雑な顔しながらでも俺を祝福してくれる。


「ありがとう…。でも、今回で日生の恐ろしさを知ってしまった…」


「う~ん、聞いて見て良い?」


 言葉での真央は遠慮気味だが、顔は興味津々だ!!


「うん、手短に話すね」


「どんな風なの?」


 3時間目の授業をサボって、俺と日生が中庭で話した出来事を真央に話す。聞き終わった真央も『日生がそんな風に裏で動いていた何て知らなかった…』と言った。


「そんな所…」


「そんな所って…良輔。それが本当なら大変だよ!!」

「日生がそこまでずる賢いと、人生の階段にされるかも!?」


「本当だわw」


「いや、マジで…」


「気をつけると言うより、頑張るわ!」


「頑張るよりも、日生がそれで終わってくれれば良いけど…」


 不安を隠しきれない真央。


「信じるさ!」

「それより『情報』が欠課になったのと、クラスの連中にバレバレなのが、有る意味痛いが…」


「良輔がそれで良いのなら、良いけど……日生と付き合ったら、どうせクラス中や学年中にバレるのにw」


「まあ、それもそうか!」

「だもんで、真央。俺は日生を守るよ、色々な意味で!」


「私も出来るだけの事は協力するわ。何か有ったら今度こそ相談してね♪」


「ありがとう!」


 遠くからパタパタと、スリッパの音が聞こえて来たと思ったら、小走りで日生が戻って来た。


「ただいま~。買ってきた~!」


 日生は戻って来るなり、俺と真央を見ながら言う。


「仲良しだね~~」


 話していたのを見たのだろう。真央は顔を『にや~』としながら言う。


「親友だもん! もちろん日生もね!」


「うん! 嬉しい~!!」


 日生は元気一杯頷いてから、真央に抱きつきに行く。真央も『ちょっと、ちょっと』と言ってるが顔は笑っていた。

 俺は日生のそう言った、少し子どもっぽい所も好きだ。本当は俺の所にも抱きついて欲しいが……


「さて、日生も満足したようだし、ご飯食べようか!」


 真央はそう言う。


「そうだな」


「うん! おなかすいた~♪」


 日生の席と空いて居た机をくっつけて、お昼を食べ始める。

 真央は日生に聞きたい事が有るらしく、日生と話しながら食べている。


 真央の朝みたいな酷いからかいは無く、日生の方も、先ほどの事は何事も無かったように、俺に普通に話し掛け、俺も日生とは今まで見たいな会話が出来た。


 久しぶりの楽しいお昼も終わり、昼からの授業は順調に終わった。授業も終わり、帰ろうとすると日生に呼び止められる。


「良輔」


「どうしたの? 日生ちゃん」


「私、頑張るから! 待ってね♪」


「日生…」


「バイバイ!」


「あっ、バイバイ…」


 日生はそう言ってから、小走りで教室を出て、そして廊下に消えていった。

 教室内は俺と日生が最後だったらしく、教室の静けさが一気にやってきた。

 俺だけの教室で、天井を見上げながら俺はこう言った。


「この想い…叶いますように」

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