第4話 一時の安心……

 その日は当然だけど少し寝坊をしてしまい、急いで準備をして学校に向かう。

 一本遅い電車だが電車にも乗れて、ギリギリに成るが遅刻は回避出来そうだ。

 始業時間5分前の所で学校に着き教室に入る。

 俺は教室に入ると、日生の席にめずらしく真央が来ており何か話している。俺は早速2人に挨拶をする。


「おはよう! 日生ちゃん。真央」


 挨拶をすると、2人は気付いたらしく……


「おはよう~」


「おはっ!」


 それぞれ挨拶を返してくれるけど…、日生の挨拶『おはよ~』に思わず胸がドキッとしてしまう。


(やっぱり、かわいい!!)


 振られてからの挨拶は、真顔に近いのばかりだったけど、今日の日生の挨拶は、100点中80点位の笑顔だった。


「あれ?」

「良輔。顔がにやけてるけど、そんなに嬉しい? 日生からの挨拶?」


 状況を知っている真央は、いきなりからかいだす。


「えっ、にやけてないよ! これが普通だよ!!」


「そんな事無いよね~~。ねぇ、日生?」


「うっ、うん…そうだね。良い事有った?」


「うん、有ったよ! すごく良い事!!」


「へぇ~、それは教えて欲しいね。どんな良い事?」


 真央のからかいが更にエスカレートする。


「えっと…まあ、後で!」

「もう、チャイム鳴るよ、真央。そろそろ教室戻らないと」


「少しくらい大丈夫だよ! さあ、どんな良い事?」


 真央が結構大きな声で言うので、いつの間にかクラスの連中が俺に注目をしている。


(言える訳がない!)

(日生と関係を修復出来たなんて!!)


 どうしようかと思った時に丁度、担任が教室に入ってくる。


「はい。もうチャイム鳴りますよ」

「よそのクラスの人は、それぞれの教室に戻って!」


 真央は『残念…』の顔をしている。真央が渋々教室に戻ろうとした時……


「今日は、3人仲良くお昼を食べようね!」

「2人からは色々聞きたい事有るしさ~♪」


 真央はニヤリとして、自分の教室に戻って行った。

 それを見ている俺と日生。


「ねぇ、日生ちゃん」

「真央って、俺達の状況知っているの?」


「うん。知っているよ!

「昨日の夜とさっき話した!!」


「そうなんだ…」


「それと……良輔。2時間目終わったら、少し付き合って…」


「えっ!」

「うん…。分かった」


 俺は理由を聞こうと一瞬考えたが、日生から只ならぬ雰囲気を感じたので了解だけする。

 俺の中では一段落着いたかと感じたが、日生の中では、まだ終わって無いようだ……

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