第3話 SNSのやり取り

 海からの帰路に着き、冷えた体をお風呂で温めてから、母親が作ってくれた夕食を取り、お腹も心も少し落ち着いた所で日生に連絡を取ってみる。


「こんばんは。SNSでは久しぶり!」


 いきなり核心を突いた内容を送って、無視されたら意味が無いので、無難な内容を送って見る。

 メッセージを日生宛に送ってからしばらくすると、スマートフォンの着信音が鳴る。

 俺は直ぐに着信の内容を確認する。


『そうだね!』


 と日生からの返信が来ていた。


「やった!!」


 思わず声を出してしまう。真央の言った通りだ!

 連絡しても、もう来ないと思っていた日生から返信が来た!

 それと同時に、胸の鼓動は凄く早くなっていく……


 雑談をSNSで交わしながらしばらく様子を見る。そうしたら意外にスムーズに会話(やり取り)が進んでいく。告白する前のような楽しいSNSだ!


(この状態なら聞いて見ても良いよな!)


 今が機会と感じた俺は、一番、日生に聞きたい事を聞いて見ることにした。


「あの時は振られたけど、今でも日生の事は大切にしたい!」


 内心『拒否されたらどうしよう』と感じつつも日生宛の送信ボタンを押す。


 ……


 今まで、遅くても30分位で返って来ていた、日生からの返信がそこでぱたりと止まる。

 1時間ぐらい他事をして、返信を待っていたが彼女からの返信はなかった。


(やっぱり駄目だったか……。冷静に考えれば、あんな文送られても困るわな…)


 幼稚なメッセージを送ってしまった自分に腹を立てて、目に付いたベッドの布団を『ドン!』と拳で殴る。意外に大きな音が返って来てこっちがビックリしてしまう。


「えらい響いたな…。周りも静かだし、もうそんな時間か?」


 スマートフォンの時計を見ると、いつの間にか深夜になっており、結構な時間が過ぎていた事を示していた。


「そろそろ、寝ないとやばいな…。でも、寝られるかな」


 1度振られた彼女の返信を待っていても仕方ないし、こう言う場合、来ない確率の方が絶対大きい。

 俺は日生からの返信は諦めて、明日の準備をして部屋の電気を消して、ベッドに入ろうとした時、スマートフォンから着信音が鳴る。


「来た。運命の返信が…」


 きっと、日生からのメッセージだと思う。

 恐る恐る、日生からのメッセージの内容を見る。すると……


「!!!」


『ごめん(汗) お風呂入っていた(^_^)』

『うん! ありがとう!!』

『眠いからもう寝るね おわすみ!』


「どんだけ、長風呂なんだよ~」

「日生、ありがとう…」


 笑いながら涙が溢れ出る…。悲しい涙じゃない!!

 連絡が途絶えてから2時間ぶりに来た日生からの返信。嬉しい返信だったから良かったけど、悲しい返信だったらぞっとする。


 俺は直ぐに「おやすみzzz 学校で!」と返信したのは言うまでもない。

 その後は、嬉しくて夜明けまで寝付けなかった……

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